
わたしは先日、夫ではなく妻がいる旨を伝えたところ、10歳の子どもから「気持ち悪い」と言われました。
ショックすぎて1週間立ち直れませんでしたが、その時のことを書き残しておきます。
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カミングアウト失敗!「気持ち悪い」と言われるまでの経緯
きっかけは、わたしの携帯の待ち受け画面が双子の子どもたちだったことです。
それに気づいた10歳のダンスの生徒がこう言いました。





当たり前のようにこんな会話が繰り広げられました。
わたしは2016年に同性婚ができるカナダでカナダ人女性と結婚しています。
そう、夫でなく、わたしには妻(パートナー)がいるのです!
同性婚ができるカナダでも差別はある
カナダは同性婚ができます。
首相みずからLGBTに対して謝罪スピーチをしたりプライドパレードに参加します。
LGBT+当事者であってもそうでなくても、みんなが自分自身であることに誇りを持ち、お互いをお祝いする日。
とてもLGBTフレンドリーな国なんです。
学校ではジェンダーニュートラルのトイレが普及されてきているし、LGBT+教育も行われています。
そんな理由もあり、すっかり安心しきったわたしは嘘をつく必要はないと判断を下し、カミングアウトに至りました。
先日産まれた双子の子どもたちのためにも、カミングアウトするべきだと。

すると、返ってきた返事がこれです。
えー気持ち悪い。
女同士でキスするの?おうぇー。
どうやって子ども産まれたの?
あまりにもヒドくて一瞬かたまりました。

異性愛者だったら一生でくわすことのない言葉たちですね。
ジェンダーに寛容な国に住んでるのに、きっと一度も誰からも正しい知識や情報を与えてもらえなかったことに同情しました。
自分の子どもの出自はプライバシーに関わることなので教える必要はないし、わたしが誰を好きであろうと気持ち悪いと言われる筋合いはないんですよね。
子どもに言われたこととはいえ、一週間ほどモヤモヤして立ち直れませんでしたよ‥。
ちなみにLGBTが子どもを授かる方法は別記事に書きました▼
また、「どうやって子どもが生まれたの?」などと安易な質問をする前に、こちらの記事もお読みいただけたら幸いです▼
<下に続く>「気持ち悪い」と言うのは表現の自由ではない
ここでハッキリと書いておきたいんですが、他人のセクシュアリティを「気持ち悪い」と言うことは「表現の自由」ではありません。
気持ち悪いと「思う」のは勝手かもしれないけど、気持ち悪いと「言う」のは差別にほかならない。
— まどぅー@旅するダンサー🌈👶👶 (@madocanada) October 20, 2020
法律の観点からみても、れっきとした差別にあたります。
こうした性的指向や性自認を理由とする偏見や差別はまだ多く存在し、間違った情報が蔓延しているのが現実です。
自分とは違うからってイジメていいわけがないし、人を傷つけていい理由にはならないですよね。
ましてや仕事を解雇したり、自殺に追い込んでいいわけもないですよね。
LGBT+当事者は「気持ち悪い」という言葉を人生で何百回何万回と言われてきています。
直接言われることだけに限らず、電車の中で間接的に言われることもあるし、テレビで聞くことや雑誌で見かけることもあります。
【日本国憲法14条】
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。(2項以下、省略)
カナダは人権が保証されている
同性婚ができるカナダで、面と向かって「気持ち悪い」と言われることは実は稀なんですよ。
なぜなら、カナダでは以下のような人権が法的に保証されているからです。
- 同性婚ができる
- 病院で面会を拒否されることはない
- マンションの入居を「同性カップルだから」と言って拒否されることはない
- パートナーの財産や遺産相続ができる
- 子どもの親権や養育権が認められている
- 同性パートナーを生命保険金の受取人にできる
- 女性でも男性でもない性別が認められている
- 手術を受けなくても診断書があれば性別変更可能
ちなみに街頭でLGBT+へのヘイトスピーチをすることも法律できちんと禁じられています。
子どもは大人の真似する
で、ちょっと考えたんですが子どもって大人のリアクションや言葉を真似するんですよね。
だからその子も特に考えもせず「言っちゃった」という感じに近いと思う。
「気持ち悪い」って言葉を言ったら、その人が傷つくとか、死にたくなるほど悲しくなるとかって想像できないんですよ。
その子の周りには今まで教えてくれる人がいなかったんだなぁと。
カナダでこのような出来事があったのは残念だなと思ったけど、きちんと伝えました。
そういうことを言うと傷つく人がいるよ。性別に関係なくどんな人でも人を愛する権利があるんだよ。
子どもがこういう差別的な発言をするのって、大抵はそう言っている大人が周りにいる。
無知は差別を生むということを、わたしたち大人は肝に命じておかなければならないなと感じました。
相手の言葉は変えられないから難しい
今回のように直接的に「気持ち悪い」と言われることはだいぶ減ってきたように思えますが、一番多いのはマイクロアグレッションと呼ばれるタイプの差別です。
異性愛前提ですすめられる日常会話はLGBT当事者にとっては結構キツイ。
その人が信頼できる相手なのかもわからない状態で、予期せぬカミングアウトを求められるのは不本意なのです。
例えるなら、針でチクチクと刺されながら「これは差別じゃないからな」と言われているような感じ。
かといって相手の言葉を変えさせることは簡単じゃない。
パートナーと言ってくれたらわざわざカミングアウトしなくてもいいのに!
旦那って‥‥‥‥旦那はイナイんじゃー!
あぁ、またカミングアウトしなきゃいけないのか。
…とか毎回毎回思うわけで。
ふとした場面で、一人ひとりと向き合っていかなきゃいけません。たぶんこれは生涯つづくでしょうね。
カミングアウトって1回だけと思いきや、新しい人に出会うたびに続くんですよね…。異性愛前提の会話がなくならない限り、一生続いていく。こんなに大々的にSNSで顔出しでカミングアウトしているわたしですが、何度カミングアウトしても慣れない。
— まどぅー@旅するダンサー🌈👶👶 (@madocanada) October 12, 2020
わたしはみんなと何も変わらない
わたしのような存在って別に特別でもなんでもなくて、みんなと同じように笑って怒って泣いて、食べて遊んで悩んで生きてる。
その人生の中で、愛する人と出会って結婚して子どもを授かった。
わたしがわたしの人生を生きているからです。
それを「気持ち悪い」と言われ傷つけられたり、人権を奪われる筋合いはないと思ってます。
「同性と結婚した」という理由によって。

マイノリティであることに悩まされることもあるけど、みんなが思っている以上に平凡に暮らしています。
ちょっぴしばかり正直に生きる道をブログで発信することで、
悩む誰かの支えになれば、誰かの言葉を変えることができれば、と出来事を残しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。