「ふたりママ」という言葉を聞いたことありますか?
わたしは「ふたりママ」として子育てをしていますが、この言葉を聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。
2人のママが協力して子育てをする家族の形について、この記事で詳しくお話ししますね。
わたしたち「ふたりママ」の家庭がどんなものか、その特徴についてもお伝えします。
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ふたりママとは?
まず、ふたりママって何?って疑問にお答えしますね。
ふたりママとは、お母さんが2人いる家族形態のことを指します。
そう、2人のママが一緒に育児をしているんです!
主に女性同士やレズビアンのカップルで子育てをしている親が「ふたりママ」と呼ばれます。
厳密に言うと、わたしはノンバイナリーでパンセクシャルなので、
「女性カップル」や「レズビアンマザー」という言葉は、我が家には少し当てはまらないのですけどね。
わたしは同性パートナーと2人で協力しながら、子どもの成長を見守っています。
ふたりママの特徴
ふたりママ家庭の特徴として、以下の3つをまとめてみました。
- ①育児と役割分担
- ②多様性教育
- ③社会的な認識と受け入れ
①育児と役割分担はどうしている?
ふたりママの家庭では、2人の母親が育児や家事を共同で行なっています。
それぞれの得意分野やタイミングに応じて役割を分担し、お互いの強みを活かしながら家庭を円滑に運営しているんです。
これは異性カップルと同じですよね。
我が家の例を少し挙げると、
ママ(わたし)が夕食の片付けをしている間に、マミー(パートナー)は子どもたちをお風呂に入れます。
これに加えて、ママは平日の学校の送り迎えの担当、マミーは週末の子どもたちの習い事の送り迎えを担当。
お互いの仕事を尊重しながら協力し合って家事育児をしています。
子どもの送り迎え、食事の準備、夜の寝かしつけなど、役割分担は家族ごとに異なりますね。
家族のライフスタイルや子どもの年齢、親の仕事のスケジュールなどによって、役割は柔軟に変わることが多いです。
また、「どっちがパパなの?」「どっちがパパ役?」と聞かれることもありますが、我が家にパパはいません。パパ役もありません。
どちらかが夫を演じているわけじゃないので、男女の性別役割分担にとらわれることもないですよ。
異性カップルだとしても、「家事育児は女性の役目・仕事をするのが男性の役目」という考えも時代に合っていないと思いますね。
②LGBTQ+多様性教育をしている
ふたりママ家庭では、LGBTQ+多様性教育に力を入れている場合がほとんどでしょう。
我が家も家族の中でオープンに話し合いながら、多様な性への理解を深めています。
わたしたちがどのように子どもたちにLGBTQ+多様性教育を行なっているのか、別記事に詳しく書いているので、ぜひ読んでみてくださいね。
③社会的な認識と受け入れは?
ふたりママ家庭は、社会の認識や受け入れについても考え、前向きに取り組んでいます。
近年ではふたりママの家庭がメディアやニュースに取り上げられてきたことで、社会全体もこれに対する理解が深まっているように思います。
それに伴う制度は全く改善されていませんが…。
わたしたちのような「ふたりママ」の家族が世間に認知されることで、
より多くの人が多様な家族形態を受け入れるようになるのではないでしょうか。
また、周りに「ふたりママ」であることを言えない家族もいます。
そのため、そうした家族の存在や悩みを理解することがとても大切になります。
ふたりママの子どもが生まれる方法と選択肢
ふたりママの家庭では、子どもがどのように生まれるかについて、いくつかの方法があります。
人工授精や提供者を使って妊娠するケースや、養子縁組やステップファミリーとして子どもを迎えることもあります。
それぞれの家族が、自分たちに最も合った方法で子どもを迎え入れるんですね。
ふたりママの家族で、子どもたちは親をどう呼ぶ?
ふたりママ家族では、子どもたちが2人の母親をどのように呼ぶかは家庭ごとに異なります。
我が家の子どもたちは、わたしを「ママ」と呼び、パートナーを「マミー」と呼んでいます。
「ママ」と「お母さん」と呼んだり、親の名前+ちゃんで呼び合う家庭もありますよ。
ふたりママの法的課題
ふたりママの家庭には法的な課題も少なくありません。
法律上の親権や養育権については、同性カップルに対する規定が整っていないのが現状です。
たとえば、子どもが生まれた際に、法律的に「親」として認められるのは出産した親だけなんですよね。
これにより、もう一方のママは法的に親としての権利を持たないため、
病院での決定権や子どもの学校での手続きにおいて問題が生じることがあるんですよ。
また、遺産相続や親権の争いなどの場面でも、法的に配偶者として認められていないと不利になることがあります。
こうした問題に対処するために、遺言や事前の法的手続きを通じて、少しでもリスクを減らすことが推奨されていますが、それでも完全に解決できるわけではありません。
すでに日本にもふたりママ家族はいるので、一刻も早い制度の改善が必要。
日本でも早く結婚できるようにしてほしい。
結婚の自由をすべての人に訴訟いわゆる同性婚裁判では、同性カップルも社会で安心して暮らせるよう平等な権利を求めています。
裁判については別記事にまとめているので、合わせて読んでみてくださいね。
ふたりママ家庭の「母の日・父の日」の過ごし方とは?
ふたりママ家庭での母の日・父の日の過ごし方は、家族それぞれのスタイルによって異なります。
ここでは、ふたりママである我が家の例を挙げてご紹介しますね。
ふたりママ家庭の「母の日」の過ごし方
母の日は文字どおり、お母さんへ感謝の気持ちをあらわす日とされていますね。
我が家で迎える母の日は、いろんな「母」の形を子どもたちに伝える日にしています。
母ふたり、母ひとり、母がいない家族もいること。
家事や料理が好きな母、そうじゃない母もいること。
「うちはママが2人いる家族だよね。ママがいない子もいるし、ママがひとりのシングルマザー家庭もあるよね」と具体的に言葉にしています。
ステレオタイプの家族像が刷り込まれたり、母親らしさを求められる社会だからこそ、子どもたちに「母の多様性」を伝えていきたい。
詳しくは別記事に書いたので、ご興味ある方は合わせて読んでみてくださいね。
それから、母の日になると毎年、近所のフラワーガーデンに出向いてお花を摘みに行き、お家に飾ります。
なんとなく我が家の伝統行事になってきました。
子どもたちに感謝を強制することはあまりしたくないので、家族みんなで楽しめることをしている感じです。
子どもたちが保育園や学校で作ってきてくれた絵や作品をもらうこともありますね。
お母さんへの制作物を作る場合は、学校の先生に
「お母さんがいない子もいれば、お母さんが2人いる子もいるし、シングルマザーの子もいる。母の日を通して、さまざまな家族の形を伝えてください」
とお願いすることもありますよ。
ふたりママ家庭の「父の日」の過ごし方
わたしたちは、ふたりママ家族なので、お父さんはいません。
なので「父の日」にお祝いをする伝統はないんですが、「母の日」と同様に、いろんな「父」の形を子どもたちに伝える日にしています。
たとえば、父がふたりの家族、父ひとりの家族、そして父がいない家族など、さまざまな家族の形があることを話し、子どもたちに理解を深めてもらう機会にしています。
あとは、ふたりパパが出てくる絵本を読んだり、
スウェーデン在住のふたりパパのみっつんさんのYouTubeを子どもたちと一緒に見たりして過ごします。
学校で「父の日」の制作物を作る場合、事前に先生と相談し、子どもたちに「大切な家族に感謝をする日にしようね」と伝えてもらったりしています。
そして、子どもたちにも誰に向けて作品を作りたいかを確認します。
子どもたち自身が「ママとマミーに作るね」「グランパ(おじいちゃん)に作るね」と決め、父の日を迎えたこともあります。
担当の先生によって、毎年取り組みが変わるので、都度対応するようにしています。
カナダでは、「母の日」と「父の日」の間に「親の日」を設ける学校もありますし、
そもそも「母の日」や「父の日」を祝わない学校ももちろんあります。
また、「ノンバイナリー親の日」を祝う学校もありますね。
ノンバイナリー親とは、母でも父でもない親のことを指します。
ふたりママに似た家族形態の言葉
「ふたりママ」と似た家族形態は、他にもあるので用語を紹介します。
ふたりパパ
「ふたりママ」と似たような感じで、「ふたりパパ」という言葉があります。
ゲイカップルまたは同性カップルの男性2人が育児をする家族形態です。
ふたりパパとしての生活や育児の様子を知りたい方には、スウェーデン在住のみっつんさんのYouTubeチャンネルがオススメですよ〜!
クィアママ
性的指向やジェンダーアイデンティティが多様な人たちが母親として子育てをする「クィアママ」の家庭もあります。
こちらも、従来の家族像にとらわれず、自分たちのアイデンティティを大切にしながら育児をしています。
実はわたし自身は、「ふたりママ」より「クィアママ」を使うほうがしっくりきています。
「ふたりママ」と「クィアママ」の違いは別記事に書いたので、ぜひ読んでみてくださいね。
「ふたりママ」に関連するおすすめの書籍と絵本
「ふたりママ」についてもっと知りたい方におすすめの書籍と絵本を4冊紹介します。
- ①書籍「母ふたりで”かぞく”はじめました」
- ②絵本「ふたりママの家で」
- ③絵本「かぞくです」
- ④絵本「いろいろ いろんな かぞくのほん」
それぞれの作品が、家族の多様性や日常を温かく描いていますよ。
①書籍「母ふたりで”かぞく”はじめました」
まず紹介したいのが、「母ふたりで”かぞく”はじめました」という書籍です。
同性パートナーと子連れ再婚した小野春さんが実話を書いています。
家族の形について考えるきっかけになる一冊になること間違いなし。
家族としての挑戦や喜び、日常の一コマが鮮明に書かれていて、クスッと笑える話も満載です。
別記事に書籍を読んだ感想を詳しく書いたので、チェックしてみてくださいね。
②絵本「ふたりママの家で」
次に紹介したいのが、絵本「ふたりママの家で」です。
ふたりママ家族の日常を描いた海外からの翻訳絵本です。
ふたりの母親と子どもたちが過ごす何気ない時間を楽しむことができ、心があったかくなる絵本です。
別記事に絵本を読んだ感想を詳しく書いたので、チェックしてみてくださいね。
③絵本「かぞくです」
続いて紹介したいのが、絵本「かぞくです」。
実は、絵本「かぞくです」は、わたしが出版しました。
子どもたちに幼い頃からいろいろな家族がいることを伝えたかったんです。
家族の多様性を伝える乳幼児向け絵本です。
実在する6つの家族が登場し、にじいろの鳥がそれぞれの家族を訪れるストーリーになっています。
絵本「かぞくです」の詳しい内容、購入方法などは別記事にまとめているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
④絵本「いろいろ いろんな かぞく」
最後に紹介したいのが、絵本「いろいろ いろんな かぞく」です。
この絵本の初めのセクションには以下の文章が書かれています。
おとうさんだけの いえ、おかあさんだけの いえもある。どっちもいなくて おじいちゃん、おばあちゃんと くらしている こも。
おかあさんが ふたりのいえも、おとうさんが ふたりのいえもある。「ようし」や「さとご」として かぞくに むかえられるこもいる。本文より抜粋
本当にすばらしい絵本です。
多様な家族構成だけが描かれているわけではなく、セクションごとに分かれて「家族のちがい」が細かく描かれています。
絵本「いろいろ いろんな かぞく」の感想は別記事に書いたので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「ふたりママ」としてハフポで取材されました
「ふたりママ」としてハフポで取材されたので、紹介しておきますね。
取材のタイトルは
同性婚が16年前に認められたカナダで暮らす“ふたりママ”「日本で暮らすビジョンは描けなかった」
です。
カナダで「ふたりママ」として暮らすわたしたちの生活や子育てについて取材していただきました。
他にも、日本では同性婚の認知が進んでいない現状、わたしたち日本で暮らせない理由、
そして、わたしたちがどのようにカナダで家庭を築いているのかなどについてお話ししました。
下記リンクからお読みいただけます。
「ふたりママ」として発信しているYoutubeを紹介
「ふたりママ」として発信している3組のYouTubeチャンネルをご紹介します。
我が家と同じように、ふたりママとして子育てをしている方々が日本にもいるんですね。
こうしたチャンネルは、とても励みになり、共感や支えを感じられるので嬉しい。
- ①ふたりママFamily(旧 Maho Risa Family)
- ②ママンズチャンネル
- ③エルビアンTV
①ふたりママFamily(旧 Maho Risa Family)
ふたりママFamilyというチャンネル名で運営している、まほさんとりささん。
お子さん2人とワンちゃんと暮らしていて、ふたりママの日常を投稿しています。
YouTubeでは、家族の日常や楽しいイベント、育児の様子などがリアルに伝わってきますよ。
家族の絆や暮らしの工夫を知りたい方におすすめです。
②ママンズチャンネル
ママンズチャンネルというチャンネル名で運営している、さとこさんとマーミーさん。
お子さんとの日常や家族の楽しい瞬間をシェアしています。
YouTubeでは、さとこさんとマーミーさんの温かい家族の雰囲気が伝わり、見ると温かい気持ちになりますよ。
③エルビアンTV
エルビアンTVというチャンネル名で運営している、UさんとREYANさん。
お子さんが生まれる前から同性カップルとしての日常やエンタメ・対談を配信しています。
様々なLGBTQ+当事者やふたりパパと対談したり、質問コーナーを設けたりして、視聴者に多様な視点を提供しています。
多くの人にとって参考になる内容が盛りだくさんですよ。
「ふたりママ」についてのまとめ
この記事では、「ふたりママ」について詳しくご紹介しました。
周りに「ふたりママ」の家族がいないという方でも、この記事を通じて、家族の多様性について考えるキッカケになったら嬉しいです。
ふたりママの家族が日常的に直面する課題や楽しさ、育児のスタイルを知ることは、誰にとっても新たな視点を提供してくれるはず。
わたしたちのような家族が存在することを多くの人に知っていただき、
日本の法律でも家族として認められるよう、応援していただけると嬉しいです。
以上、カナダ在住のまどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
関連書籍・絵本はこちら▼
こんにちは、まどぅです。