
わたし自身がノンバイナリーを自覚したのは、結婚し子どもが産まれた後のことです。
大人になるまで性別は女性か男性の2つのみだと思っていたし、そもそもノンバイナリーという言葉も知らなかったからです。
この記事では、わたしがノンバイナリーを自認するまでの経緯と心境を書いています。
スポンサーリンク
ノンバイナリーとは?
ノンバイナリーとは、身体的な性別に関係なく、自分の性自認・性表現に「女性」とも「男性」とも当てはまらない、当てはめたくない性自認のことです。

わたしが住んでいるカナダではXジェンダーと言うことがほとんどないために、個人的にノンバイナリーという表現が馴染んでいます。
ノンバイナリー英語表記
ノンバイナリーは英語でnon-binaryまたはnon-binary genderと表記されます。
ノンバイナリーの語源・意味
ノン(non)とバイナリー(binary)が組み合わさったのがノンバイナリーという言葉です。
バイナリーとは2つのカテゴリーで構成されているものを表す言葉。
つまり、性別が女性と男性の2つしかないという考えがバイナリーになります。
したがって、女性と男性の性別二元論にとらわれない用語が「ノンバイナリー」となるわけですね。
ノンバイナリーのフラッグの意味
ノンバイナリーの尊厳を表すシンボルとして作られた旗があります。
ノンバイナリーフラッグは、黄色・白色・紫色・黒色の4色が使われているのが特徴。


- 黄色……性別二次元の中にはいない人々を意味する
- 白色……全ての性別を持つ人々を意味する
- 紫色……両性・中性・ノンバイナリーの揺れ動く性別を意味する
- 黒色……性別を持たないと自認する無性の人々を意味する
ノンバイナリーフラッグは2014年にカイ・ローワン(Kye Rowan)氏によって作られました。

ノンバイナリーのシンボルマーク
下記はノンバイナリーのシンボルマークです。


一部の国でパスポートやIDに性別「X」が表記できるようになったことを機に、このようなシンボルマークが生まれました。
ノンバイナリーはいつから自覚した?
カナダに引っ越してきた当時、わたしの周囲ではジェンダーニュートラルな人称代名詞としての「they」の使用がまだ一般的ではありませんでした。
2017年ごろに、he/sheだけでなく、単数で使えるtheyがあることを初めて知りました。
それでもその時はまだ「複数として習ったtheyだけど、自分自身の代名詞としても使えるんだね〜!」と、どこか他人事のように思っていたんですよね。
世界100カ国出身の200人が集まる国際学校ピアソンカレッジで働いていた時に、自己紹介で必ず自分の人称代名詞を伝えるようになりました。
その時に生徒の何人かが「自分はsheとtheyです」と言っていて、「人称代名詞がふたつあってもいいんだ」と思いました。
改めて、わたしは本当にsheなのか?と考えてみると、sheとtheyの両方がしっくりくると分かったんです。

ノンバイナリーを自覚したのは、30歳を過ぎてからでした。
性別が女性または男性の2つだけでないことを子どもの頃から知っていたら、自分自身を知るのがこんなに遅くはならなかったと思います。
ノンバイナリーとしての生きづらさ
思い返してみると、「女の子だから」「女性だから」と押し付けられることに幼少期から違和感がありました。
- キティちゃんの机が可愛いと思えず、母に「捨てて」と頼んだ
- ピンクのフリフリが苦手だった
- 小学校6年間の私服は毎日ズボンだった
- 中学校の制服でスカートを着るのが嫌だった
- 人形遊びよりレゴ遊びが好きだった
何気なく言われる「女性はこういうの好きですよね」が全く当てはまらない人生…。
かといって女性の身体を持つことに違和感があるわけではなかったので、男性として生きたいわけでもなく。
20代の時は、社会が求める「いわゆる女性らしさ」をめざそうとしたこともありましたが、今思うと本当の自分とはかけ離れた姿だったなと思うんですよね。
子育てをしていても「女の子だから・男の子だから」を言わないように心がけているのは、自分が幼少期に言われて嫌だったからなんだなと改めて思います。
性別にとらわれない子育てについては別記事に詳しく書いているので、ぜひ合わせてお読みいただけたら嬉しいです。
ノンバイナリーを自覚してからの心境
自分がノンバイナリーであることを自覚した当初は、
もっと髪の毛を短くして男性らしさを出さなきゃノンバイナリーでないと思われるのではないか、
女性用トイレを使っているはおかしいと思われるのではないか、
可愛い人形を持っているのはノンバイナリーの考えに反していると思われるのではないか、
「ふたりママ」と自ら名乗っているのにその考えはおかしいと思われるのではないか、などと

ふたりママとして発信するようになってからは、「女性同士のカップル」と表記されることに苦痛を感じ、「同性同士のカップル」と表記変更をお願いするようになりました。
<下につづく>
ノンバイナリーをパートナーにカミングアウト
わたしがノンバイナリーを自覚したのは30歳を過ぎてから。結婚して6年。子どもたちが2歳の時です。
パートナーには「ノンバイナリーかもしれない」と伝えると、「迷っているってことはノンバイナリーなのかもね!」と。
数日後には「やっぱりノンバイナリーがしっくりくるんだよね」とカミングアウトすると、「そうなんだ!おめでとう!」と喜んでくれました。
もともと同性同士のカップルで、いわゆるLGBTQ+ファミリーの我が家。
ノンバイナリーをカミングアウトすることで、わたしたちの関係を変えてしまう心配は何ひとつなかったのです。
それに加えて、カナダの先住民族にはトゥー・スピリット(Two Spirit)と呼ばれる女性と男性の双方を融合する性別の概念が存在するんですよ。
カミングアウトをすんなり受け入れてくれたのもパートナーがカナダ出身であることも大きかったのかもしれないですね。
ノンバイナリーの親の日

ノンバイナリーをカミングアウトしてからは、パートナーと子どもたちが毎年ノンバイナリー親の日をお祝いしてくれています。

子どもたちからお手紙もらいました。

母の日や父の日だけじゃないんですね。
家族からありのままの自分を受け入れてもらえているのは本当にありがたいです。

これからもわたしはわたしである
この記事では、わたしがノンバイナリーを自認するまでの経緯と心境を書きました。
これからもわたしは、わたしであり続け、母としてノンバイナリー親として子どもたちに愛情を注ぎ、パートナーと共に精進していこうと思います。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
関連本▼