LGBT(Q)当事者のまどぅー(➠プロフィールはこちら)です。
わたしが初めてカミングアウトをしたのは母でした。
2014年のことです。当時、わたしは23才で母は49才でした。
今ではアライになって応援してくれている母ですが、
娘から突然「女性と付き合っている」とカミングアウトされた母の心境はどうだったのでしょう?
改めて、「カミングアウトされた当時の心境」を母に聞いてみました。
スポンサーリンク
母親にカミングアウトはしないつもりだった
実はもともとカミングアウトしないつもりだったんだよね。
え〜そうだったの?どうして?
「友達が女性同士で結婚式を挙げるんだって!」と伝えたことがあるの覚えてない?
何となく記憶にあるけど、何年前?
7年前 (2013年)かな。その時に「そうなんだ。でも、まど佳は“ちがう”よね?」って言われたのが引っかかったんだよね。
まだ他人ごとに捉えていた時期だったと思う。
まさか自分の娘がLGBTQ+当事者とは思わないよね。そんな親は多いと思う。
LGBTQ+当事者が「最もカミングアウトしにくいのは親、家族である」と言われています。
娘から突然カミングアウトされた時の母の心境
カミングアウトされた日のことって覚えてる?
鮮明に覚えてるよ。おばあちゃんのお葬式の帰りだったね。
お葬式の帰りに「人はいつか死ぬんだから後悔しない人生を生きて!」とわたしに言ったんだよ。
そう。わたし自身の生き方でもあるからね。
そのひと言でカミングアウトに至ったんだよね。突然で驚いたと思うんだけど、カミングアウトを受けた時の心境はどうだった?
まど佳がひとりで悩み苦しんでいたかと思ったら、心が締めつけらて涙が溢れてきた。
あの時に流してくれた涙はそういう涙だったんだね。親を悲しませてしまったんだと思った。
それは違うよ。言葉で言ってあげればよかった。
「同性を好きになるのは間違い」と思ってたし、恥ずかしいことだと思った。
社会がそうさせているんだよね。カミングアウトを受けて「人を好きになるとはどういうことか?」を改めて考えたよ。
「同性愛は気持ち悪い」っていう社会で育つじゃない?だから自分自身でさえ、その事実を受け入れたくなかったし、自分の中にある偏見(ホモフォビア)を乗り越えるのが大変だった。
ホモフォビアとは、同性愛者に対して嫌悪感・拒絶・否定的な価値観を持つこと。自分の中にあるホモフォビアはインターナライズド・ホモフォビアと言います。
カミングアウトして「親に拒絶されるかも」という不安はあった?
もちろんあったよ。親に拒絶されて自死を選ぶ人もいるし。だけど、咄嗟に決めたカミングアウトだったから「受け入れてもらえなかったらどうするのか?」というのを深く考えていなかったと思う。
そういうふうに悩むLGBTQ+当事者の子どもはたくさんいるだろうね。当事者の親になって初めて気づくことも多いよ。
あの時に「人を好きになるのに性別も国籍も年齢も関係ない。自信を持って」って言ってくれたんだよね。涙が止まらなかった。
思わず出た言葉だけど、偉大な母だね!!
あ、自分で言っちゃった(笑)
(笑)
<下に続く>
娘にカミングアウトされた後の母の心境は?
子どもからカミングアウトされて悩む親は多いと思うんだけど、親として何かしら葛藤はあった?
「孫の顔は見せてあげられないから期待しないで」と言われた時は正直ショックだったかな。
当時はわたしも「LGBTが子どもを授かる方法」を知らなかったんだよね。
やっぱり心のどこかで「男性と付き合って結婚して子どもを持つこと」を想像していたんだと思う。
「同性愛は趣味」とか「病気だから治る」という間違った認識はあった?
そういう認識はなかったけど、子どもができない人、産まない選択をした人、養子を育てている人、さまざまな生き方があるんだって思い直した。
我が家のように「ふたりママがいる家庭」だってあるからね!
合わせて読みたい
「双子のふたりママ」は世界中でも珍しいんじゃないかな。
珍しいというか、少数派ではあると思う。でも、他の家族と同じように笑って怒って泣いて悩んで生きてる。そこに何も違いはないよ。
合わせて読みたい
親族へのカミングアウトは最難関
そのほかに思い悩んだことはある?
親族がどう受け止めるのかが想像つかなかったねぇ…。保守的だし。
叔父さんと叔母さんにカミングアウトした時は今思い出しても嫌な気持ちになるよ‥。
叔父さんが「自分の娘がそうだったら賛成できない」って言ってたね。
「親に孫の顔を見せないのは親不孝」とも言われたし、「外国の話を聞いてるようで理解不可能」とも言われたよ。
うん、あの時は絶望したよね。
カミングアウトされて戸惑うのは当たり前だけど、「お前は普通じゃない」と全てを否定された気がして悲しかった。
でもカナダで挙げた結婚式に出席してから、少しずつ理解してくれたと思う。
そうだといいな。
山と海に囲まれたカナダの自然の中での結婚式。世界中から友人が駆けつけてくれたよね。
多くの人が祝福してくれて、感動してくれて、本当に結婚式を挙げて良かったと思う!
カナダでは2005年から同性婚が法律上できます。
合わせて読みたい
LGBTQ+当事者の娘がいることで差別を受けたことはある?
自分の友達や知り合いには伝えられた?言いづらくなかった?
言いやすい人と言い出しにくい人がいたよ。
どんな反応だったの?
長年の友人から「理解できない」と言われた時はツラかったよ。あからさまな差別は受けなかったけど、しばらく疎遠になっちゃった。
そうだったんだね…。
でも、その間にテレビや新聞がLGBTQ+について取り上げたり、行政がパートナーシップ制度を作る動きがあって少しずつ友人も理解してくれたんだよね。
そうだったんだね。
何より、わたしの娘が当事者だから知ろうとしてくれたのだと思う。
身近にいることで他人ごとではなくなったんだね!
子どもからカミングアウトされてよかった?
子どもからカミングアウトされて「受け入れない親」は半数いるんだって。
それは衝撃的だね。
わたしからカミングアウトされてよかったと思う?
もちろんよかったよ!
なんでそう思うの?
信頼してくれてるからこそ打ち明けてくれたんだもの。逆に親にカミングアウトしてよかったと思う?
よかったと思う。でも、多くの人が親に拒絶されたり絶縁されているのを知っているから、軽々しく「カミングアウトした方がいいよ!」とは全く思わないけど。
さまざまな親子関係があるから一概には言えないもんね。
自分の子どもが「LGBTQ+当事者かも」と思ったら親はどうすればいい?
自分の子どもが「LGBTQ+当事者かも」と思ったら親はどうすればいいと思う?
うーん、難しいね。でも「子どもが打ち明けやすい環境」を作ってあげることかな。
なるほど。「打ち明けやすい環境」って例えばどんなことだと思う?
例えば「彼氏/彼女いるの?」という異性愛者限定の言葉遣いをやめたり。
異性愛前提の会話って山ほどあるからね…。
テレビでLGBTQ+の人がネタにされて笑われていたら「こういうのはよくないよね」って言ったり。
いちばん身近である子どもに対しても「マイクロアグレッション」をしないってことだね。
でも、これが非常に難しい。悪気がなくても長い年月のいわゆる「普通」にしばられているから。
それがマイクロアグレッションだよね。こうあるべきと押し付けるのではなく、個人の自由と幸せが最大限に尊重される社会になってほしい。
うん、まど佳の幸せを心から願ってるよ。
今日は色々話してくれてありがとう!!
どういたしまして!!
最後にひとつ! 「LGBTQ+の子どもを持つ親」にメッセージはある?
LGBTQ+は特別なことではない。だから、あなたのお子さんを丸ごと受け止めてあげてほしいです。そのことが多様な生き方が増えることに繋がると思うのです。
日本でも早く同性婚が実現してほしい!!
娘からカミングアウトされた母と対談!まとめ
この記事では、娘から突然カミングアウトされた母の心境について改めて聞いてみました。
今ではアライとなって応援してくれている母ですが、母なりの葛藤もあったんだなと。
頭ではわかっていても、我が子がLGBTQ+当事者となると、受け入れられない親は多くいるのではないでしょうか。
NPO法人の「LGBTの家族と友人をつなぐ会」では家族や友人のサポート活動を行なっています▼
カミングアウトに関連する記事まとめ
では最後に、LGBTやカミングアウトに関する記事をまとめておきます。
興味のある記事があれば読んでみてくださいね〜。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
関連書籍はこちらから▼
こちらの記事も人気!