わたしが住んでいるカナダでは、同性婚ができるようになったのは2005年から。
もう10年以上前からなんです!
この記事はカナダのLGBTQ2S+事情・歴史・同性婚についてまとめました。
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カナダではLGBTではなく、LGBTQ2+と呼ばれる
カナダではLGBTQ+ではなく、LGBTQ2S+と言われます。
以下のそれぞれの頭文字をとったもので、セクシャルマイノリティの総称として使われています。
- Lesbian(レズビアン)
- Gay(ゲイ)
- Bisexual(バイセクシュアル)
- Transgender(トランスジェンダー)
- QuestioningまたはQueer(クエスチョニングorクィア)
- 2-spirit(トゥースピリット)
2-spirit(トゥースピリット)は、日本では馴染みのない用語になりますね。
カナダや北アメリカの先住民には古くから認識されてきた性があります。
それが2つの性役割(ジェンダーロール)を持つ人です。
「+(プラス)」は、そのほかのセクシュアリティを含みます。
カナダのLGBTQ2+事情
カナダは世界から「LGBTQ+フレンドリーな国」という印象がありますが、実際はどうなんでしょうか?
当事者としてカナダに住んでいるわたしが実際に感じたことや、カナダのLGBTQ2S+の現在の現状をまとめてみました!!
- カナダの首相がプライドパレードに参加する
- カナダの首相がLGBTQ2S+に謝罪した
- 街中にレインボー横断歩道やフラッグがある
- 第3の性別「X」の記載が可能
- 履歴書に性別欄がない
- 子の出生証明書は「母・父」記載でない
- ジェンダーニュートラルのトイレが普及
- 学校でLGBTQ2S+教育がある
- 性自認がわからない場合は「They」を使う
- 世界初、性別不明の赤ちゃんが生まれる
- 日本の同性女性カップルが難民として認定される
<下に続く>
1. カナダの首相がプライドパレードに参加!
2015年にジャスティン・トルドー首相に変わったおかげで、LGBTQ2S+の差別撤廃へと道が大きくひらけてきました。
カナダのプライドパレードにはジャスティン・トルドー首相も参加するんですよ!
それも1度のみならず、毎年参加しています。
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他にもトルドー首相は以下のようなことを実際に行ないました。
- LGBTQ2S+差別禁止法をつくった
- かつての差別に対しLGBTQ2S+へ謝罪スピーチを行なった(後述しています)
- パスポートに第3の性別「X」の記載を可能にした
- ゲイ当事者を大臣に任命した
トルドー首相は、プライド月間やトランスジェンダー可視化の日にも「あなたの命が大切」と毎年発信しています。
それに比べて日本は、差別発言する議員が多くて呆れてしまいますね…。
カナダのプライドパレードについて
カナダのプライドパレードの始まりは1972年です。
1969年6月にニューヨークで「ストーンウォールの反乱」が発生した3年後のことです。
トロントで行なわれました。
LGBTQ+の人権を守るため、それに賛同する人たちが集うイベントやパレードのこと。
といっても、現在のような大規模パレードではなく、ほんの数人で集まって「ピクニックしよう!」というかなり控えめなイベントだったそうです。
現在では6つの都市で毎年プライドパレードが行なわれています!!
- トロント・プライドパレード
- ビクトリア・プライドパレード
- バンクーバー・プライドパレード
- モントリオール・プライドパレード
- オタワ・プライドパレード
- カルガリー・プライドパレード
最近ではソルトスプリングという小さな島でもプライドパレードが開催されるようにもなりました。
カナダの中では「モントリオール・プライドパレード」が最大級のパレードです。
モントリオールはアーティストが多く芸術性が高いので、フリーショー、ダンスショー、ファッションショーなどもあるそう。
わたしはバンクーバープライドパレードとビクトリアプライドパレードに参加したことがあります。
カナダの警察官もレインボーのネックレスをしていました!
2. カナダの首相がLGBTQ2S+へ謝罪した
2017年11月28日、カナダのジャスティン・トルドー首相が、
カナダ政府がかつて行ってきたLGBTQ2S+への不当な扱いや差別について涙ながらに謝罪しました。
謝罪スピーチは別記事に翻訳しました。
詳しくはこちらの記事に▼
3. 第3の性別「X」がパスポートに記載可能
カナダでは、2019年に女性でも男性でもない第3の性別「X」がパスポートに記載可能になりました。
詳しくはカナダ政府のサイトに説明されています。
関連サイト:Choose or update the gender identifier on your passport or travel document
4. 履歴書には性別欄がない
日本中の履歴書にあたりまえのようにある性別欄ですが、カナダの履歴書には性別欄がありません。
法律上の性別と、現在暮らしている性別が異なるトランスジェンダーの方もいるので、履歴書の性別欄が苦痛になっていルことがあります。
当事者にとっては、半ば強制的なカミングアウトであり、アウティングにも繋がっている状態なんですよね。
カナダでは性別の記載を求めること自体が雇用に反していて、人権侵害と理解されています。
その他にもカナダの履歴書に書いてはいけないことはこんなにあるんですよ▼
- 性別
- 年齢
- 宗教
- 配偶者の有無や家族構成
- 社会保険番号
- 移民ステータス
また、人種や容姿などの就職差別につながるため、顔写真も貼ってはいけないんですよ〜。
日本でも署名活動があります▼
5. 子どもの出生証明書は「母・父」ではなく「Parent(親)」と表記
わたしは2016年に同性パートナーとカナダで結婚し、2019年に子どもを授かりました。
なので、わたしの子どもたちはふたりの母親がいます。
カナダでの出生証明書には「母・父」ではなく、「Parent(親)」と記載されています。
Name of Parent(親の名前)の欄に、わたしとわたしのパートナーの名前が記載されているのをみて本当に嬉しかったです。
日本では同性同士だと、どちらか一人にしか親権が与えられないので…。
6. カナダの街中にはレインボーの横断歩道がある
カナダの街中にはレインボーの横断歩道があります。
病院、銀行、学校、教会、住宅街、薬局などにもレインボーフラッグが掲げられていたり、レインボーステッカーが貼ってあります。
私はカナダに住んで10年経ちましたが、
今では日常生活の中でレインボーフラッグを見かけない日なんてないほど。
たとえ、家庭で居場所がないとしても、街中にレインボーが溢れているので、社会全体で守られていると感じられます。
7. ジェンダーニュートラルなトイレの設置
ジェンダーニュートラルのトイレの設置が学校で義務付けられています。
8. 学校でLGBTQ+教育が行なわれている
以前、近所に住む小学校4年生の子から「日本のLGBTQ+の現状について教えてほしい」と言われたことがあり驚いていたのですが、
世界のLGBTQ+について調べることが宿題だったようです。
BC州では5歳からLGBTQ2S+教育があると知りました。
州によって学校によってどこまで学ぶのか差があるようですが、子どもの頃から多様性を学べる国となっています。
9. 性自認がわからない場合は「They」を使う
カナダでは相手の性自認がわからない場合は「He/him」や「She/her」ではなく、「They/their」を使います。
「They=複数」をイメージしがちですよね。日本の英語教育でアップデートはされているのでしょうか?
また、自己紹介の際には、自分に対してどの代名詞(pronouns)を使ってほしいのか伝えるようになってきました。
さらにSNSのプロフィールなどに自分の代名詞「She/her」「He/him」「They/their」と記載することも増えましたね。
10. 性別不明と認められた赤ちゃんが誕生
2016年11月、カナダのBC州で誕生した赤ちゃんの性別が不明と認められました。
出生証明書には男(M)でも女(F)でも第3の性別(X)でもなく、「U」と記載されました。
Uの持つ意味は、Unspecified(特定されていない)、Unknown(不明)を表す頭文字です。
In what could be a 1st, #BC child #BC issued health card w/ “U” for sex. Parent Kori Doty at centre of fight w/ Vital Statistics. #LGBTQ pic.twitter.com/MPlQsO8qYe
— Charmaine de Silva (@char_des) June 30, 2017
親であるKoriさん自身がノンバイナリー、トランスジェンダーを自認していて、性別を決められたことによって苦しんだそうです。
わたしも親として、性別にとらわれない子育てをしたいと常々思っているので、こうしたニュースに心うれしく思います!
11. 日本の女性同性カップルが難民認定された
2021年、同性カップルの日本人女性がカナダで難民認定を受けました。
女性であり、同性愛者であることで日本国内で複合的な差別があったため、カナダ政府の移民難民委員会が「日本全体で人権が十分に守られていない」と判断されたのです。
今の日本人権状況は、カナダでは難民認定基準に該当するレベルということ。
お二人が今後に人生を安心して暮らせるようになって本当に良かったし、人権問題としてきちんと捉えているカナダを誇りに思います。
日本が変わらない限り、社会で平等に扱われることを求めてカナダ移住される方はこれから多くなりそうですね。
カナダではLGBTQ2+への差別はないの?
とてもLGBTQ+フレンドリーなカナダですが、現在でも差別が全くないわけではありません。
LGBTQ2S+フレンドリーな地域とそうでない地域がある
カナダは世界第2位の面積を持つ広大な国です。
レインボーの横断歩道が黒く塗りつぶされる事件があったり、親から拒絶されるLGBTQ2+当事者もいます。
事実、わたしのカナダ人のパートナーは保守的な両親にカミングアウトするのに苦労しました。
「この州に住んでいるからこういう考え」とひとくくりにはできませんが、地域ごとに多少なり傾向があるということです。
保守的なエリアは主にアルバータ州、マニトバ州、サスカチュワン州です。
フレンドリーなエリアはBC州、オンタリオ州やケベック州の都市部になります。
それでも、カナダのトルドー首相が「どんな性別でも、性的指向でも、性自認でも愛される価値がある」と何度も発信しているので、人権問題だと認識されていて、尊重されるべきという考えが浸透しています。
法の下の平等が実現されているのは大きいですね。
カナダの同性婚事情
続いて、カナダの同性婚事情についてまとめました。
カナダで同性婚ができるようになったのはいつから?
冒頭で述べた通り、カナダでは2005年から法律上で同性婚および性別に関係なく結婚ができるようになりました。
カナダが同性婚できるようになるまでの歴史
カナダで同性カップルの権利が認められるまでには、1965年以来のとてつもなく長い道のりがあります。
カナダが同性婚できるようになるまでの歴史を一部ですが、年表にしてみました。
1965年 | ゲイ男性が男性と性交渉をしたことにより刑務所へ |
---|---|
1969年 | トルドー首相が同性愛は犯罪ではない案を出し改正される |
1977年 | ケベック州で性的指向による差別が禁止になる |
1978年 | 同性愛者がカナダに移民できるようになる |
1981年 | 300人以上のゲイ男性が大浴場で警察に逮捕される 次の日、3,000人がトロントで抗議デモを行なう |
1988年 | 国会議員として初スヴェンド・ロビンソンがカミングアウト |
1995年 | 裁判により、同性カップルの養子縁組がオンタリオ州で法制化 |
1999年 | 最高裁判所で「同性婚を法制化できない」と判決される |
2000年 | 同性カップルがコモンローカップルと同等の権利を得る |
2002年 | オンタリオ州高等裁判所で初めて法の下で同性婚を認める判決が下される一方で、アルバータ州では同性婚を禁止する法案が可決 |
2003年 | オンタリオ州で約20組の同性カップルが結婚許可証を申請 |
2003年 | ジャン首相が同性婚を法制化すると発表 |
2003年 | ブリティッシュコロンビア州で同性婚を認める判決が下される |
2004年 | ケベック州控訴裁判所にて伝統的な結婚の定義は差別的で不当と裁定 |
2004年 | 訴訟を提起したマニトバ州の3組のカップルに結婚許可証が発行される |
2004年 | ノバスコシア最高裁判所で同性婚を禁止することは違憲と裁定 |
2005年 | 同性カップルに結婚する法的権利が与えられる |
それが、1969年にトルドー首相が「同性愛者は犯罪者ではない」と案を出し改正されました。
この時のトルドー首相というは、現在のジャスティン・トルドー首相のお父さんなんですよ〜。
カナダで同性婚ができるようになるまでには、同性カップルが訴訟を起こして敗訴したり、勝訴したりと長い歴史があります。
差別がゼロではないけれど、先人たちのおかげで今のカナダがあるといっても過言じゃないですね。
カナダで日本人は同性婚できるの?
ちなみに日本人はカナダで同性婚ができます。
同性婚が法律上できない日本では無効になりますが、カナダではふうふとして、家族として扱ってもらえます。
カナダのLGBTQ2S+事情・歴史・同性婚についてのまとめ
この記事では以下の3つについて書きました!
- カナダのLGBTQ2S+事情
- カナダのLGBTQ2S+差別
- カナダの同性婚事情・歴史
参考になれば幸いです。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
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