「結婚の自由をすべての人に訴訟」は現在も継続中です。
「同性婚は必要ない」という反対意見がたまに散見されますが、
この記事では「日本で同性婚はなぜ必要なのか?必要性と認めるべき理由」をまとめました。
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なぜ同性間の結婚を認める必要があるのか?
わたし自身、LGBT(Q)当事者として「結婚しなくても好きな人と一緒にいるだけじゃダメなの?」と言われたことがあります。
同棲できればいいじゃんと。
わたしが住むカナダでは法律で同性婚ができるので、わたしたちは2016年に結婚式を挙げました。
しかし、式前には「結婚式は大きくしなくてもいいんじゃない?」と言われたこともあります。
こうした会話はLGBT+当事者が日常的に受けるマイクロアグレッションとして知られています。
同性カップルも法的に保障される権利がある
日常的に受けるマイクロアグレッションだけでなく、
同性同士のカップルはさまざまな社会保障を受けることができていません。
異性同士であれば「当たり前にもらえる権利」が、同性同士であるというだけで保障されていないんです。
「結婚の自由をすべての人に訴訟」では法の下の平等に反することなどが争点として挙げられています。
- 病院で面会を拒否される
- マンションやアパートの入居を拒否される
- 外国人同性パートナーの在留資格がおりない
- 財産や遺産相続ができない
- 子どもの親権や養育権が認められないetc
同性婚が認められると、上記のことがすべて解決し、制度がなくて困っている人が平等な権利を得ることができるようになるんですね。
平等な社会保障がないのに「愛しあっていれば、それでいい」とは言えないはずですよね。
ひとつずつ説明していきたいと思います。
①病院で面会を拒否される
パートナーが病気や事故で意識不明になった場合、書類にサインをすることができません。
法的に家族として認められていないので面会を拒否されることもあります。
たとえ10年以上寄り添ったパートナーだとしても、法的に証明するものもありません。
一部の地域ではパートナーシップ法が発行されていますが、法的拘束力は全くないんです。
公式サイトには下記の記載もされています▼
例えば、パートナーが病気で意識不明になった時、結婚していれば家族としてようすを見守り、医者から話が聞けます。しかし、同性カップルは「法律上の家族ではないから」と拒否されることがあります。
日本でも同性婚を!だれもが「愛する人との結婚」を選べる社会にするために、私たちの訴訟を応援してください!より引用
「結婚の自由をすべての人に訴訟」の原告である小野さんと西川さんも、「パートナーでは子どもの入院の手続きができない」と断られた経験があります。
(そういう日本の血縁主義にウンザリします)
受け入れてくれる病院もなかにはあるかもしれないですが、病院によっても対応はまちまち。
オープンでない方にとっても、「ご関係は?」と言われ、カミングアウトをしなければいけないのも苦痛です。
命の危険があるときでも同性カップルであることを心配しながら生きていくのは、想像を絶するほどツラいものがあります。
②マンションの入居を拒否される
物件のオーナーを対象にした調査では、同性同士の入居に否定的な回答が半数ほど。
特に男性カップルの場合は47%が入居拒否の要因になることがわかりました。(どうするLGBTの住まい確保より)
実際に練馬区在住の当事者の男性2人が「家族ではない」として、なんども断られたんですよ。
住まいの確保ができないのは死活問題ですよね…。
沖縄県でもアパートの契約時に同意書に「LGBTの方は原則お断りしています」と書かれた一文があったそうです。
実際に入居を断られたタスクさんが語っています▼
みんなちがって、みんないい。
そんな「ちがい」に、愛を。
Share love, give love, spread love❤︎#LGBT pic.twitter.com/LsuieejKip
— Tasuku.|旅する表現者⋆⸜ (@itsmetasuku) December 11, 2020
異性愛者であることを理由に入居は拒否されないのに、同性愛者であることを理由に入居を拒否される。
こんな理不尽なことが2020年になってもあるなんて本当に驚きを隠せません。
③外国人パートナーの在留資格がおりない
日本人と外国人の同性カップルの場合、在留届けがおりないので、日本では一緒に暮らすことができないんです。
現在の在留届けの条件は以下です。
- 外国人と日本人の異性カップル=在留資格可◯
- 外国人と外国人の同性カップル=在留資格可◯
- 外国人と日本人の同性カップル=在留資格不可×
③に当たるカップルだけは家族で日本に住むことを許されていないわけです。
わたしのパートナーは外国人(カナダ出身)なので、③にあたります。
パートナーのキムは在留資格が降りないので、わたしたちが日本で一緒に暮らすことは不可能なんですよ…。
カナダでは家族として認められているのに。
カナダで暮らすか、日本で暮らすのかの選択肢がない時点で「平等」とは言えないと思っています。
わたしが日本国籍を捨てたら日本に家族で住めるって「国からの差別」としか言いようがない。カナダに住んでいるからいいじゃんとか、そういうことではない。例えカナダを選んだとしても。選択肢がないのと、選択肢があるのは全く違う。選べないのと選ばないのは違うから。#結婚の自由をすべての人に
— まどぅー🏳️🌈旅するダンサー👶👶 (@madocanada) November 25, 2020
日本人である私が日本人であることをやめて、日本国籍を放棄したら日本に住める。明らかにおかしいですよ…。
公式サイトにもこのような記載がありました▼
パートナーが外国人だった場合、男女であれば結婚することで、日本にいる資格をもらえます。しかし、同性カップルは結婚ができないので、仕事を失った場合に一緒に日本で暮らすことができません。
日本でも同性婚を!だれもが「愛する人との結婚」を選べる社会にするために、私たちの訴訟を応援してください!より引用
現在、外国人同性パートナーの在留資格をもとめた裁判が行なわれています。
「外国人同性パートナー在留資格訴訟」といいます。
この訴訟については別記事に詳しく書きました▼
④財産や遺産相続ができない
パートナーの急逝後、遺産が相続されなかった事例が2018年にありました。
同性同士での生活を40年以上続けてきたのに、以下のことが起こったのです。
- 共に築いた財産が相続されなかった
- 火葬に立ち会う機会を拒否された
どれだけ長く連れ添っても「相続する権利が与えられない」なんて。
財産や遺産だけでなく、社会保障、税制などの法的保護もありません。
愛する人を失っただけでも悲しいのに。
お金のために結婚するわけじゃないですが、共に生活をしていくうえで保障があることはとても大事なことです。
パートナーが亡くなった後に遺産が相続されなかったので、住む家を失ってしまった人もいます。
どれも異性カップルだったら当たり前に法で守られていることですよね。
ちなみに日本のパートナーシップ法は相続権などは付与されていないんですよ。
もう議論を重ねる必要はなく、平等な権利を与える段階なのは明白です。
<下に続く>
⑤子どもの親権や養育権が認められない
日本でもすでに同性の親を持つ子どもたちがいます。
しかし、日本では同性婚ができないので、血の繋がりがない方は法的に親になることができません。
法律では血縁を重視されることが多いためです。
例えば、「子どもと血の繋がりがあるパートナー」が先に亡くなった場合。
血の繋がりがない方は戸籍上の親子関係が認められていないので、子どもと離れ離れになる可能性があるのです。
また、子どもが病気の場合には付き添いや面会を拒否されることもあります。
同性パートナーとして一緒に子どもを育てているなら、どちらの大人にも子どもの親権や養育権を認める必要があります。
同性の親を持つ子どもたちは制度がなくて困っています。
同性婚が認められたら、異性カップルと同じように生活できるのです。
わたし自身、2019年に双子の親になりました。子どもを持つ親として一刻も早く解決してほしい課題です。
LGBT当事者が親になる方法については別記事にまとめています▼
⑥その他にも
色々と例を挙げましたが、他にもこんなものがあります▼
- 職場での結婚一時金が支給されない
- 携帯電話契約の際に家族割引が適用されない
- 民間サービスを受けられない
- 同性パートナーを生命保険金の受取人にできない
- クレジットカードの家族カードを作ることができない など
同性カップルの直面する法的問題より引用
「日本で同性婚はなぜ必要なのか」まとめ
上記の理由は同性婚が実現すれば一瞬で解決できる課題です。
同性カップルも法的に保障される権利があるので、婚姻制度を利用できないのはおかしいのです。
「結婚制度」は共に生きたいと思ったふたりが、安心して生きていくためにあります。
メリット・デメリット以前に「当たり前の権利」としか言いようがありません。
幸せな人が増えるのはもちろん、LGBTの自殺率も減ることに繋がっていくはず。
それでも日本が同性婚を認めない理由ってなんなんでしょうね?
国からはいずれも「同性カップルは想定していません」の一点張りです。
「日本で同性婚が認められない理由とは?」についての国の回答は別記事にまとめました▼
「結婚の自由をすべての人に訴訟」についてはこちらの記事を参考に▼
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。