わたしは女性同士で子育てをしています。
え?同性同士で子どもを授かれるの?
と思った方もいるかもしれませんが、
世界中に「ふたりの母親を持つ子ども」や「ふたりの父親を持つ子ども」たちがいます。
もちろん日本でも同性カップルに育てられている子どもは既に存在しています。
「子どもを持ちたい」と考えるLGBT+当事者はどうやって、子どもを授かっているのでしょうか?
「LGBT当事者として子どもが欲しい!」と考えている方、またそうでなくても、LGBTファミリーの理解に繋がればいいなと思います。
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LGBTが子どもを授かる方法5つ
LGBTが子どもを授かるには以下の5つの方法があります。
- 代理母出産
- 精子提供
- 養子縁組
- 里親
- 子連れ再婚
不妊治療で子どもを授かる方法と一部は似ているかもしれません。
①代理母出産
当事者の依頼を受けて妊娠・出産を代行した第三者を代理母、その方法を代理出産、代理母出産といいます。
海外ではサロガシー(surrogacy)と呼ばれていますね。
男性同士のゲイカップルで子どもが欲しい場合など、代理母出産が用いられることがあります。
代理母出産を通して男性同士で子育てをしているファミリー
スウェーデン在住のみっつんさんとリカさんは、代理母出産を通して子どもを授かり、男性同士の親として子育てをしています。
みっつん(@MittsunLondon)さんのブログ内では「サロガシーの旅」と題して、子どもを授かるまでの過程を発信しています。
2019年8月に出版されたみっつんさん著書「ふたりぱぱ」にも詳しく書かれています。
国によっては、代理出産で授かった子どもは戸籍上の実子として受理されない場合があったり、
代理出産の規定は国によってはまちまち。
同性婚ができるカナダやスウェーデンでは代理母出産を選択することができます。
②精子提供
女性同士のカップルの場合や、どちらかがトランスジェンダーの場合など、精子提供で子どもを授かる方法があります。
精子提供でも下記3つの方法が考えられますね。
- 友人や親族からの精子提供
- ボランティアからの精子提供
- 海外の精子バンク
①友人や親族からの精子提供
友人や親族(パートナーの兄弟など)から精子提供を受けるという方法があります。
同性同士ではどちらかの親は子どもと血の繋がりがないので、血縁を重視したい方は親族にお願いするケースがあります。
法律が整っていない日本では、親しい間柄であっても提供者の方と以下のようなことを事前に話し合い、書面にして共有しておくことがとても大切です。
- 親権や養育権について
- 子どもとの関わり方
- 認知の有無
- 養育費など
出産前、出産後、子育て期間中に相手の気持ちが変わることを考慮し、その都度、話し合ったり更新していくことも時に必要です。
トランスジェンダーの杉山文野(@fumino810)さんは、友人から精子提供を受けたパートナーが妊娠・出産し、3人で子育てをしています。
日本の法律が整っていないので戸籍上はパートナーがシングルマザーという形だそうですが、3人で子育てしているそう。
多くの人が想像する家族のあり方は「女性と男性の夫婦の間に子どもが1人か2人」ですよね。
でも、「家族のあり方」はそれだけじゃないと実はもう既に多くの人が気づいているはず。
シングルマザーやファザー、祖父母に育てられている子ども、里親や養子、LGBTの親を持つ子ども。
杉山さんの著書はこちら▼
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②ボランティアからの精子提供
友人や家族ではむずかしい場合、第三者にお願いして精子提供をしていただくケースもあります。
この場合も事前に書面で「決めごと」を共有をしておくことは必要だと思います。
なので、仮に弁護士さんや専門家を通して公正証書を作っておいても「裁判所が認めない」ということも大いにあります。
やはり一番だいじなのはお互いが納得する形であることを前提に、ドナーさんとその都度、話し合っていくことです。
ちなみにわたしが住むカナダでは、「精子提供者は報酬をもらってはいけない」という法律があります。
また、アメリカでは報酬を受け取ってもいいという法律になっています。
国際同性カップルの場合で、外国籍の方から精子提供を受ける場合はその国の法律もきちんと知っておくといいと思います。
③海外の精子バンク
「精子バンク」とは、ドナーから採取した精子を凍結保存している機関のことです。
精子バンクでは、精子ドナーのプロフィールや遺伝性疾患の有無など詳細な情報が得られます。
ただ、日本の精子バンクは婚姻している夫婦への提供のみとされており、同性カップルは対象外なんです。
なので、海外の精子バンクを使うことになりますが、やり取りはすべて英語になりますね。
ちなみにカナダでは、「ひとりの人が精子を提供できる回数」が決まっています。
同じ男性の精子を用いて生まれた子どもが増えすぎてしまうと、遺伝的な異母きょうだい間の近親婚が出てくる可能性がありますよね。
そういった状況を避けるために同性婚が認められている海外の精子バンクでは、きちんと法整備が行なわれています。
③養子縁組
イギリスではなんと、12組に1組の養子縁組が同性カップルという統計も出ています。(LetbeeLifeより)
足立区議会で白石議員が「LGBTが広がれば足立区は滅びる」と発言していましたが、
あれは全くの誤解と間違った知識です。
親が異性同士であっても同性同士であっても、
子どもと血が繋がっていてもいなくても、
子を愛し誠意を持って子育てに取り組むことがいちばん大事です。
異性カップルだから子育てがちゃんとできて、同性だったらできないということはありません。
もしそうならシングルマザーやシングルファザーは単一の性のみでの子育てという意味では同じですので、
彼らの子育ても禁じなくてはいけないことになります。Florenceより
残念ながら、日本では「婚姻関係にある男女のみ」が養子縁組の対象になっています。
<下に続く>
④里親
2017年5月、大阪市では同性カップルが里親として認定されました。
同性同士の親が里親として認められたのは初めてのことですね。
⑤子連れ再婚(ステップファミリー)
ステップファミリーとは、再婚や事実婚により、血縁のない親子関係を含んだ家族形態のことです。
ステップファミリーとして子育てしている同性カップル
都内でにじいろかぞくの代表しているおのはるさんは、同性のパートナーさんと共に3人の子どもを育てています。
結婚して2人の子どもを産み、離婚後に現在の同性パートナーと出会ったそうです。
おのさんのパートナーさんも子どもを1人産んでいます。
「同性カップルに育てられた子どもは不幸になるのでは?」という意見を聞くことがありますが、
おのさんのお子さんの声を聞くとそんなことはないんだって心から思えますよ。
「私なりに精一杯頑張ってきたつもりだけれど、子供がどう思っているかはわからない。『子供に悪い影響があった嫌だ』ということを私自身が思っているところがありました」
でもある日、LGBTファミリーについて取材を受けたときに「悪い影響があるという意見についてどう思うか」と聞かれた子供が「何言っているのか、よくわかんないですね」と即答するのを聞いた。
「それを聞いたときに、ホッとしたという以上に『ああ、私自身も周りの声に囚われていたんだ』と感じました。
BuzzFeedより
「LGBTに育てられた子どもはかわいそう」という言葉こそが偏見なのだと気付かされます。
母ふたりで子育てしてきた、おのはるさんが出版した本「母ふたりで“かぞく”はじめました」おすすめなので是非!
本のレビューはこちらから▼
日本にもLGBTファミリーは存在する
2019年の現在、日本では同性婚ができないので、残念ながらひとりの子どもに対して同性カップルの2人が親権を得ることはできません。
ただ、カミングアウトできていないだけで、この記事で紹介したように日本でも同性カップルに育てられている子ども、いわゆるLGBTファミリーは既に存在しています。
どちらかの親は親権や養育権がないので、いっこくも早く法整備が必要という状況なんです。
同性カップルに育てられている子どもは世界中にいる
米国では20万人以上の子どもが同性カップルの親に育てられています。
以下の本に様々な事例やデータが紹介されていました。
別記事でも紹介したことがあるんですが、以下の動画もステキなので見てほしいです▼
同性カップルの親を持つ家庭で育ったきょうだいのスピーチです。
英語なので翻訳を掲載しておきます▼
「わたしはふたりの母親がいることで、愛情に恵まれた家庭で育っていないのでは?信じない人たちがいます。でもその考えは間違っています。わたしはお母さんたちを愛し、お母さんたちは無条件にわたしたちを愛してくれています。」
LGBTが子どもを授かる方法まとめ
この記事では「LGBTが子どもを授かる方法」と「LGBTファミリーとして子育てをしている方」を紹介しました。
LGBTQ+当事者として子どもを持つことを考えている方は参考までに、
またそうでなくても、LGBTファミリーが身近にいるという理解に繋がればいいなと思っています。
ジェンダーの無知無関心から、マイクロアグレッションを引き起こしてしまわないように…。
また、「子どもを授かったLGBT当事者がよくされる質問」も別記事にまとめました。
興味本位に聞いてしまいがちな質問なので、いまいちど、なぜ知りたいのか考えてみてほしいです▼
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。