
この記事では「お金を払って物を手に入れる」という固定概念を変えたレストラン「カルマキッチン」を紹介します。
スポンサーリンク
カルマキッチンとは?
カルマキッチンとは一体どんなレストランなのでしょうか?
一般的にはレストランに行ってご飯を食べたら代金を支払いますよね。
ところがこのカルマキッチンでは、自分の飲食代は既に支払われているんです。前に来たお客さんによって。
さて、どういうことでしょうか。
レストランでいつものように支払おうとすると、このような会話が繰り広げられます。



働いている人もシェフもボランティアで運営されているのがカルマキッチンです。
ここでの食事代はすべて前のお客さんからの贈り物となっています。
また、感謝を贈りたいと思ったら、次に来店するお客さんへお金を払うこともできます。それはあくまで自分の選択であり、いくら支払うかも自分自身が決められます。

カルマキッチンはお金じゃないもので恩返しもできる
実際にわたしが来店すると、メニューには金額が提示されていませんでした。
カルマキッチンって面白いなと思ったのは、お金ではないもので恩返しをすることもできること。
例えば、代わりに「アートを描きます!」と自分が提供できる技術を差し出す関わり方や、「食器洗いします!」などキッチンスタッフやホールスタッフとしてボランティアにたずさわる方法。
様々な形で関わることができるのも魅力のひとつになっています。
<下に続く>
カルマキッチンはアメリカが発祥!
カルマキッチンの創設者はアメリカ人のニップン・メッタ(Nipun Mehta)さんが始めました。
アメリカでカルマキッチンを運営しているニップンさんや、実際に関わっている人のインタビューはこちらの映像から▼
まず「消費者」から「貢献者」へシフトすることです。
自分は何を持っているのか、何を奉仕できるのか、そう考えることが第一歩です。次に、貢献者になると「交換」から「信頼」へのシフトが起きます。「交換」は私とあなたの1対1の関係で成り立っているので、与えたものに対して見返りを求めますよね。
一方で「信頼」は、何らかの形で、めぐりめぐって自分のもとへ返ってくること。だから何が返ってくるかよりも、自分から始まって次の人、また次の人…というサークルの中で生まれた可能性が大切なのです。 by ニップン
カルマキッチンでは恩返しではなく恩送りという言葉を使っています。

ギフト経済とは?
ギフト経済とは「「人の優しさ」や「与えたいと想う気持ち」からお金や物がまわっていく経済をギフト経済と呼びます。
わたしがカルマキッチンの存在を知ったのは2012年。2011年の震災から1年後のことでした。
震災が起きた直後、地元のスーパーやコンビニからは物がなくなりました。お米もパンも、水もトイレットペーパーも、全てに物がなくなってて。
消費者による不安の買いだめが原因で起こった「奪い合い」です。
ちょうどそのすぐ後に「ギフト経済」という新しい経済の仕組みを知ったんです。
奪い合うのではなく、与え合うことで経済をまわす方法が存在するなんて、とても驚きですよね。ギフト経済は貨幣経済とはまったく異なる方法ともいえます。
無銭飲食が増えるのでは?
ギフト経済を用いた方法でレストランを運営しているカルマキッチンですが、不思議なことに、集まったお金がマイナスになったことがほとんどないんです。

もし来店するお客さんたちが「無料で食べれるレストラン」という認識をではなく、「優しさを受けとれるレストラン」「優しさを贈れるレストラン」が体験できると認識しているのなら、無銭飲食が続出しなかったのにも納得いきますよね。
「無料で食べられるんだ♪ラッキー♪」なんていうお客さんが殺到したら、そんな人しか来なかったら、お店は速攻で潰れてしまいます。
お金を多く払える人は払えばいいし、お金を払えない人は別のことで返していく、もしくは完全に「受けとる」だけでもいい。
そうすることでみんなが今の自分にできることを考えるキッカケになっているんだと思う。
恩送りをすることで生まれるもの
「自分の食事代を払うのも、次の人の食事代を払うのも結局同じことなんじゃ…?」と疑問に思う方がいるのも事実ですが、こんなツイートを見つけたので紹介します。
大阪の路上で5円玉を5円で売ってるおじいちゃんがいる、という話。5円を支払うと、5円玉を買える。この話を聞くと誰しもが「意味あんの?」と思う。ただその5円のやりとりの際に会話が生まれる。コミュニケーションがそこにある。5円は行って来いで戻ってくるが、新しい価値がそこに生まれてる。
— 家入 一真 Kazuma Ieiri (@hbkr) 2017年8月15日

いっけんすると、意味のないことをしているように見えても、5円と5円を交換することで人と関わり、コミュニケーションが生まれているんですね。
カルマキッチンで体感できる「お金を超えた人との繋がり」こそに、新たな経済の可能性が秘められていると確信しています。
カルマキッチンの場所
カナダのカルマキッチン
カナダのビクトリアに「be Love」というオーガニックレストランがあります。
初めてこのレストランに来店した時に、メニューの一部が「前の人からの贈りもの」だということに気づきました!
メニューにはこう書かれてました。
We believe that everyone deserves a warm healthy organic meal.
「誰もがあたたかくヘルシーなオーガニックの食事をとるに値する」ことをわたしたちは信じています。
be love offers the love bowl on a donation basis.
be love一同は「ラブボール」をドネーションに基づき提供しております。

住所 | 1019 Blanshard St, Victoria, BC V8W 2H4 |
---|---|
電話番号 | (778) 433-7181 |
営業時間 | 日〜木曜日 11:00-21:30 |
HP | belove |
このラブボールは8ドルと書かれていますが、16ドルを支払うと、次の人にまわる仕組みになっているそう。
日本のカルマキッチン情報
日本のカルマキッチンは定期的にイベントとして開催されています。
恵比寿、東京、大阪と開催地も幅広いです。

興味がある人はボランティアとして携わることもできます。
詳しくはウェブサイトをどうぞ!
《HP》https://karma-kitchen.jimdo.com/
《Facebook》https://www.facebook.com/karmakitchentokyo/
このカルマキッチンの試みは世界各地で広まっています。
支払う義務がないのに集まった金額がマイナスになったことがないという不思議なレストラン「カルマキッチン」へぜひ行ってみてください♪
以上、まどぅー(@madocanada)でした。