多くの絵本に描かれている家族は、「お母さん・お父さん・子ども」の典型的な家族像です。
しかし、社会には数え切れない家族の形があります。
- ひとり親の家族
- ふたりママ家族
- ふたりパパ家族
- 子どものいない夫婦
- 里子や養子を迎えた家族
- 障がいを持った方がいる家族
- 結婚していないけど子どもがいる家族
- 結婚したくてもできない同性同士のふうふ
- ステップファミリー
- 大家族 など
この記事では、わたしが実際に子どもたちに読んでよかったな〜と思う「家族の多様性を描いた絵本」を紹介します♪
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【1】いろんな家族が出てくる絵本
1冊ごとに魅力を紹介していきますね。
①かぞくです
あらすじ・内容
ぱたぱたぱた
朝焼けと共に、にじいろの鳥が羽ばたき、旅に出ます。いろいろな家族を巡るにじいろの鳥から、ひらりひらりと舞い落ちる羽。
「にじいろのとりはどこかなー?」
羽を拾ってにじいろの鳥を探すいろいろな家族たちが集まってきました。
「あ、みーつけた!」
空にはにじいろの鳥、白い鳥、黒い鳥の家族が飛んでいます。
陽が落ちるまで一緒に遊び、夕焼けに染まる色々な家族。色もいろいろ、家族もいろいろ。
ほっこり暖かく、多様な家族がいることを伝える乳幼児絵本です。
感想・読みどころ
絵本「かぞくです」は、「多様な家族がいることを伝えたい」という想いからクラウドファンディングを通して出版されました。
ふたりママ、ふたりパパ、ふうふ、障がいを持った方がいる家族、シングルファザー、大家族の6家族が出てきます。
家族の多様性について描かれている絵本は、ほとんどが海外の翻訳本ですよね。
海外の翻訳本も好きですが、「日本にはそんな家族がいない」という認識につながるのでは?と思いがありました。
また、月齢が低い子どもの時から読める絵本を探していたのですが、なかなか見つけられず。
実は、絵本「かぞくです」の作者はわたし自身です。
乳幼児期から家族の多様性を伝える絵本がないことをキッカケに、
ないなら絵本を作ろう!と思って仲間と一緒に出版に至ったんです!!
絵本「かぞくです」の特徴は以下です。
- 月齢の低いお子さんから読める
- 実在する6家族が出てくる
- 翻訳本でなく、日本で出版されている
- 知育絵本にもなっている
他にも、絵本を作る上でのたくさんのこだわりポイントが詰まっています。
絵本「かぞくです」については別ページに詳しくまとめていますので、こちらからぜひお読みくださいね▼
②いろいろいろんなかぞくのほん
あらすじ・内容
かぞくはいろいろ。多様性を学べる絵本です。
むかしの本に出てくる家族はたいてい同じだけど、
実際の家族にはいろいろな形がある。家族構成や住んでいるところ、仕事や休みの日の過ごし方、
お祝いごとも家族によってそれぞれ違う。
どんな気持ちで暮らしているかも違う。
さあ、きみのかぞくはどうかな?Amazonより引用
感想・読みどころ
家族のちがいを想像しやすく、そしてとてもわかりやすく描かれている絵本です。
子どもたちもいろいろな発見をして楽しそうに読んでいます。
人種、障がい、宗教も描いているので、ちがいを丁寧に学ぶことができるので本当におすすめ。
絵本のレビュー記事は別に書きました▼
③わたしのかぞく みんなのかぞく
あらすじ・内容
「みんなのかぞくについてとっておきのことをはなしてね」と先生にたずねられ「うちの かぞくは ほかと ちがうから」と黙ってしまう“わたし”。でもクラスメイトは自分の家族を得意げに語ります。みんなの話を聞いてどんな家族のかたちがあってもいいと知った“わたし”も自分の家族について話す勇気が湧いてきて…。家族にも多様性があることを子どもの語りでユーモラスに表現。読者に勇気と気づきをあたえてくれる絵本。Amazonより引用
感想・読みどころ
この絵本のシチュエーションは学校。
多様な家族のもとで暮らす子どもの声を代弁したような文章の描き方になっています。
心に響きます。
ふたりのママがいる子、おばあちゃんと暮らす子、血縁のないきょうだいがたくさんいる子など、
みんなが自分の家族を紹介していきます。
世間では「ひとり親はかわいそう」とか「同性同士が親の子どもはかわいそう」と決めつけられがちですが、
家族構成に関わらず、どの家族にも幸せがあるんだって改めて思えますよ。
個人的に好きじゃない文章の言い回しもあるので、文章を変えて読んでいます。
④All about Families かぞくって なあに?
あらすじ・内容
「かぞくって どんなもの?」「かぞくって なんのためにあるの?」国籍も性別も構成もいろいろな現代の家族のかたち。さまざまな視点から探り、楽しいイラストで説明します。さぁ、大切な家族について、一緒に考えてみましょう!
感想・読みどころ
わたしが一番好きなのは、「家族だからってみんなが同じ気持ちなわけではないよ」と伝えてくれている部分です。
また、イラストも多様に描かれているのが好きです。
片親の家族、子どものいない大人の家族、祖父母と子どもの家族、障がいのある家族、タトゥーが入った家族、LGBTQ+の家族、里親や養子を迎え入れた家族など。
親の死について書かれているページがあります。感情に寄り添って伝えられる絵本でもありました。
⑤ぼくの、わたしの、世界の家族
あらすじ・内容
世界の子どもたちに取材した絵本シリーズ第3巻のテーマは「家族」です。家族のかたちや人数、くらしている場所がちがっても、家族を愛する思い、願いや希望はみな同じです。たがいに尊重し合って生きていきましょう。Amazonより引用
感想・読みどころ
世界の子どもたちに取材した絵本シリーズです。
両親のいる家族、片親の家族、祖父母も一緒に暮らす家族、母親がふたりいる家族など、様々な家族が出てきます。
作者はカナダ在住の方です。
実際に子どもたちに取材をして完成させた絵本なのでリアルです。
実は残念ながら現在はAmazonで取り扱っていないそうですが、中古販売もあるかもしれません。
追記: 児童書ドットコムで販売されているそうです。
【2】ふたりママの絵本
①ふたりママの家で
あらすじ・内容
わたし、ウィル、ミリーの3人きょうだいには、ママがふたりいる。みんなでご飯をつくって食べたり、一緒に踊ったり、楽しく笑いの絶えない毎日。親せきも近所の人もみんな「ふたりママ」のことが大好きだけど、中には違う考えをもつ人がいて…?子どもたちがやってきてから、ふたりママがおばあちゃんになり、次の世代につなぐまで。ふたりママの家の、にぎやかで、なんてことのない、成長記録。Amazonより引用
感想・読みどころ
わたしは、この絵本に出てくるマーミーとミーマーと同じく「ふたりママ」として子育てしているので、とても勇気づけられました。
どの絵本も大概はお母さんとお父さんと子どもの典型的な家族像が描かれているので、
ふたりママの家でに出会った時は嬉しかったです。
歌ったり笑ったり、跳んだら跳ねたり、何気ない日常がほんわか描かれています。
そして、時には嫌なことがあったりも。
ママがふたりいる家族というだけで、他は何も変わらない。
あとがきの「ちがいは恵み。ひとりでも多くの人がそう思える社会に、1歩でも近づけますように」という言葉も胸に深く残りました。
「ふたりママの家で」の詳しい書評レビューは別記事に書いたので、さらに気になる方はぜひ▼
【3】ふたりパパの絵本
①ぼくらのサブウェイ・ベイビー
あらすじ・内容
ニューヨークの地下鉄でおきた奇跡の実話
たくさんの偶然を積み重ねて
僕たちのもとに赤ちゃんがやってきた!これは、ニューヨーク市の地下鉄で自分の家族を見つけたある赤ちゃんのおはなし。
8月のよるのこと。
その赤ちゃんとの出会いは、ダニーと、パートナーのピートの人生を大きく変えました。まるで奇跡のような本当の出来事です。Amazonより引用
感想・読みどころ
地下鉄で泣いていた赤ちゃんを見つけ、ゲイカップルが親になり、3人家族になるまでの物語です。
「愛があれば、なんでもできる!」と言った判事さんの声がジーンときます。
家族の始まり方はいろいろある。
「ぼくらのサブウェイ・ベイビー」の詳しい書評レビューは別記事に書きました▼
②タンタンタンゴはパパふたり
あらすじ・内容
動物園にはいろんな家族がいます。でもペンギンのタンゴの家族はちょっと違っていました。
ロイとシロのパパふたりとタンゴ、それがタンゴの家族なのです──。ロイとシロのおすペンギンは、いつからかお互いに気に入り、カップルになりました。一緒に泳いで一緒に巣づくりして、いつも一緒にいました。
ところが、他のカップルは、ただ一緒にいるだけでなく、どうやら巣の中で何かをあたためている模様。しかもそうこうしているうちにそのあたためたものがかえって赤ちゃんペンギンが誕生しているではありませんか。
ロイとシロは、近くにあった卵の形をした石を拾ってきて、さっそく毎日毎日交替であたためはじめました。でも石のたまごはちっともかえりません。
そんな様子を眺めていた飼育員がはたと思いつきます。
他のペンギンカップルが育てられなかったたまごをそっとふたりの巣においてやります。そして、ふたりにしっかりあたためられた卵から、タンゴが生まれたのです──。ニューヨークにあるセントラル・パーク動物園で実際にあった話を絵本にした『and Tango makes three』の邦訳版です。
なかなかかえらない石のたまごを暖め続ける切なさ、待ちに待った赤ちゃんペンギンが生まれる瞬間、読み終わった後、ほんのりあたたかい気持ちになれる絵本です。
子供たちにも、そして大人たちにも、読んでもらえるとうれしい一冊です。Amazonより引用
感想・読みどころ
アメリカのニューヨークにある動物園で実際に起きた実話絵本です。
パパペンギン二人が一生懸命にたまごを温めて育てていく姿は感動的で愛そのものです。
「同性同士は不自然だ」という声を聞くことがありますが、多様であることこそが自然なんだと思います。
ペンギンの表情も豊かに描かれていて、とても可愛いですよ。
「タンタンタンゴはパパふたり」の詳しい書評レビューは別記事に書きました▼
③マチルダとふたりのパパ
あらすじ・内容
パパがふたり。家族の形は様々だから。
パールの学校に転校してきたマチルダ。
気の合う二人は早速なかよしになりますが、マチルダにはパパがふたりいると知り、
パールは驚きます。きっとうちとは違うクールな家族と生活を送っているんだろうなあと
想像したパールでしたが・・・。家族のかたちはさまざまで、違いはあるけれど、大切なことは同じ。
多様なありかたを自然に認め合える。
そのきっかけづくりに役立ててほしい絵本です。Amazonより引用
感想・読みどころ
転校生のマチルダにはふたりのパパがいます。
マチルダが「うちは おとうさんがふたりなの。ふたりは、とってもなかよしなんだ」と、あっけらかんと言うところがいいなと思いました。
友達のパールはお父さんがふたりいるって特別なのかな?と期待しますが、最後には「ぜんぜん普通で、うちとかわらないんだね」と気づくお話です。
本当は「普通」とか「普通じゃない」って分けられること自体がおかしいなと思うのですが、
ふたリパパがいるからって別に大して他と違わない。
この絵本では、「どの家族も違うけど、どの家族も同じように暮らしているんだよ」とメッセージが込められています。
わたし自身、ふたりママとして子育てしていく過程で「普通じゃない家族」や「特別な家族」と言われることがありますが、
日々の暮らしの中で笑ったり泣いたり、感動を分かち合ったりして暮らしています。
文章のニュアンスや気持ちの受け取り方などを含めると、小学生以降にオススメの絵本です。
【4】里子や養子の絵本
<下につづく>
①ぼくのかぞく
あらすじ・内容
「ぼくをうんでくれたママと いまいっしょにいるママ
どっちもほんとうのママなんだって
どっちもぼくのことはたからものだって」
……みなさんに知ってもらいたい、ひとつの家族のかたち(あらすじ)
「ぼく」は、生まれてすぐに里親のママと暮らすことに。
生みのママにも時々会いながら、すくすくと育つ「ぼく」。
ある日、お友だちに「どうしてママが2人いるの?」と聞かれます。
里親のママに聞くと、にっこり笑って……
そうして大きくなった「ぼく」は、生みのママのおうちに帰っていくことに……Amazonより引用
感想・読みどころ
この絵本に出てくる子どもにはふたりのお母さんがいます。
生みの母親と里親の母親です。
育ての母親が「ママがひとりのひとも、ふたりのひとも、いないひともいるのよ。 みんなそれぞれ、どれもふつう」と言うシーンが特に好きです。
「ふつう」という言葉は、人と比べる時に使われることが多いので本当はあまり好んで使いたくないのですが、
この絵本での使われ方は気になりませんでした。
「みんな同じなんだよ」とメッセージがあるからです。
日本には、生まれた家庭で暮らすことができない子どもたちが約4万5000人いるそう。
この絵本は、たくさんの人に「里親制度、里親家庭のことを知ってもらいたい」と作られた絵本でもあります。
②ねぇねぇ、もういちどききたいな わたしがうまれたよるのこと
あらすじ・内容
主人公の女の子は、自分が生まれた夜のことを聞くのが大好き。「ねぇねぇ、もういちどききたいな」と何度も何度も両親にせがみます。でも実は、彼女は、両親と血がつながっていません。生みの親は別にいるのです。両親は、そのことを正直に彼女に話します。彼女がどのようにして生まれたか、そしてどのようにして両親に迎えられたかを。Amazonより引用
感想・読みどころ
明るくほっこりとした絵でありながら、内容が深く、思わず涙ぐんでしまいました。
出てくる子どもは自分の親と血の繋がりがないことを知っています。それでも自分が生まれた日の夜のことを聞くのが大好き。
血のつながりに関係なく、愛されていることがわかっているからです。
養子になる赤ちゃんをどれだけ待ち望んでいたのかがわかるので、特別養子縁組を迎える方の真実告知の絵本としても最適です。
子どもに愛情を注ぐことが何より大事。心から愛情が伝わる絵本です。
③ふたりのおかあさん
あらすじ・内容
「わたしには たいせつなひとが たくさんいる」
特別養子縁組によって結ばれた親子、家族の絆を描く。
特別養子縁組により、おとうさん、おかあさんと家族になったみらいちゃん。産みの親からも育て親からも愛されながら成長していくみらいちゃんを描いた全ページフルカラーの絵本です。Amazonより引用
感想・読みどころ
特別養子縁組がテーマの絵本です。
産みのお母さんと交流している内容があります。
産みの親と交流がない当事者の子どもには少し複雑に感じる箇所があるかもしれませんが、
可愛いイラストで説明もわかりやすいです。
主人公の子どもが幼稚園生なので、同じ年頃の子どもにも読める絵本です。
【5】ひとり親の絵本
①パパと10にんのこども
あらすじ・内容
パパはまいにち10にんのこどものせわでめがまわりそう。ある日、ひとりでふねにのってたびにでることにしました。でも…、パパはたのしくありません。どうしてでしょう…。ヴリュッセル賞、サン・ポール・トロアシャトー賞、ドローム青少年図書展ピチョー賞受賞。Amazonより引用
感想・読みどころ
シングルファザーと明確な表現はないものの、お父さんがひとりで仕事も子育ても頑張っている姿が絵本に描かれています。
多くの絵本ではお母さんが家事・育児をする描写ばかりなので、男性が家事・育児をする絵本を探していました。
もしも子どもが「お母さんはどこにいるの?」と聞かれたら、「お父さんだけで、お母さんがいない家族もいるんだよ」と伝えられる絵本でもあります。
子育ての大変さが描かれているので、子育て中の大人が共感できたり、救われるような絵本だなとも思いました。
廃版になっているので中古でしか手に入らないのが残念!
【6】親が別々で暮らす家族の絵本
①ママのうちとパパのうち
あらすじ・内容
表向きは他愛ないストーリーだが、実は両親の離婚を扱った日本ではまだ珍しい仕掛け絵本。SHELLYさん推薦!
Amazonより引用
感想・読みどころ
離婚家庭の子どもの生活を描いてある絵本です。
ママのお家とパパのお家を楽しそうに行き来する子どもが描かれています。
最初はママと過ごす様子が描かれていて、小さなページをめくるとパパと過ごす様子が描かれている仕掛け絵本。
めくって遊ぶのが楽しく、子どもたちも好きな絵本です。
わたしが住むカナダでは共同親権があります。
離婚家庭で育つ多くの子どもたちは、この絵本のように両親のお家を行き来して過ごしていたりします。
夫婦関係を解消しても、どちらも親として子どもと関わっていくなら、オススメの絵本です。
②ココ、きみのせいじゃない
あらすじ・内容
この本は、子どもと親がいっしょに離婚を乗り越えるのをサポートするための本です。
離婚を考えている親のための本でもあります。
物語とともに、各ページに両親のための具体的なヒントとアドバイスがあります。
主人公は、こぐまのココ。男の子でも女の子でもないユニセックスな存在です。ある日、パパとママが「だいじな話がある」って、ココに言うところから、物語は始まります。
子どもたちはきっと、ココをとおして、新しい生活と、そして自分の気持ちとうまくつきあう方法を見つけていくことができると思います。Amazonより引用
感想・読みどころ
離婚を決めた両親が子どもにどのように伝え、どのように養育を一緒にやっていくかを描いた絵本です。
両親は、ココのせいでないことをハッキリ伝えつつ、ココを支えます。
家族の多様性を伝える絵本というよりは、どちらかというと離婚した親を持つ子どもの感情整理を手伝う絵本になっています。
家族の多様性を描いた絵本まとめ
この記事では、家族の多様性を描いた絵本を紹介しました。
多くの絵本ではステレオタイプの家族像ばかりが描かれているので、
いろいろな家族がいることを幼い頃から伝えるのは本当に大事だなと感じます。
それが子どもたちにとっても生きやすい社会を作る一歩。
人との違いを理解できるように、幼い頃から伝えていきたい。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
絵本「かぞくです」はこちらからチェックしてみてくださいね▼