読売テレビのニュース番組の「かんさい情報ネットten.」で放送された内容がヒドイんです。
外見で性別がわかりづらい一般人に、保険証を提示させたり、胸を触ったりする「性別調査ロケ」が放送されました。
コメンテーターの若一さんが激怒してくれたのが唯一の救いです。テレビという公共の電波を使って人権無視するのはやめてほしい。
関連記事:テレビで人のセクシャリティを笑いの対象にしたり、馬鹿にする芸人を一掃したい。
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かんさい情報ネットten.で放送された「性別当て企画」の概要
ニュースでも話題になっていました。
「かんさい情報ネット ten.」が5月10日夕、見た目で性別がわかりづらい一般の人に対し、リポーター役の芸人が保険証を提示させたり、胸を触ったりするなどして男性と確認する企画を放送した。これに対し、コメンテーターとして出演していた作家の若一光司氏が「許しがたい人権感覚の欠如。そんなもの、よう平気で放送できるね」などと激怒。生放送中のスタジオは一時、沈黙が広がった。
読売テレビのニュース番組、保険証の提示や胸を触って性別確認。「人権感覚の欠如」とコメンテーター激怒より引用しました。
「性別調査ロケ」の一連の流れ
簡単にまとめると、こんな感じ。
- 「みなさんのお悩み解決」というコーナー内で、店員さんの悩みを聞く
↓ - 悩みとは「常連客の性別をハッキリさせたい」というもの
↓ - 芸人の藤崎マーケットが外見で性別がわかりづらい一般人の性別を調査
↓ - 「彼女はいないの?なぜ作らない?」「純粋な男?」「女の人が好きな男?」などとプライバシーな質問を繰り返す
↓ - わざわざ保険証の提示をさせ、胸を触る
↓ - 最終的に男だとわかり、店員に報告
映像を見た方がわかりやすいかと▼
若一さんが怒ってたロケがこちら。
何気なく見てたけど確かに夕方の報道番組としては違和感があった🤭#藤崎マーケット#関西情報#ten#放送事故#若一さん pic.twitter.com/0jHczMSGYD— まっちぃ♡2児の娘ママ@ワンオペ育児 (@mckmck0509) 2019年5月10日
藤崎マーケットからのしつこい質問
そもそも個人のセクシャリティに他人が踏み込むべきではないんですよ。
見ていて不快だったのが執拗なまでの以下の質問です。
下の名前は?
藤崎マーケットは名前から男性か女性か判断しようとし、どうにか本人の下の名前を聞き出そうとします。
ですが、下の名前を聞かれた時に答えることを拒否しているんですよね。
なぜ下の名前を答えなきゃいけないのか、と。
彼女はいる?作らない理由は?
次に「彼女はいるんですか?」という質問。
「彼女(彼氏)いるの?」という質問は、性的少数派が受ける代表的な「マイクロアグレッション」にも当たります。
聞かれた方のセクシャリティはもちろんわかりませんが、理解のない相手に予期せぬセクシャリティのプライベートの開示を求められる質問であることには間違いないですね。
関連記事:「マイクロアグレッション」って知っている?何気なく使っている言葉に潜む差別
失礼ですが、性別はどっち?
続けて、「失礼ですが、性別はどっち?」とまで聞きに行っていました。
失礼だと思っているなら聞くなよって。
さらに「男です」と本人が答えると、「え、純粋な男?」と確認する場面も。
純粋な男って何でしょう…?
免許証持ってます?
身分証を提示させてまで性別を確認する必要ってあるんですかね…?
もはや良識を疑います。
最後に胸を触って確認
最後に本人の胸を触って確認までしていましたね。
こういった形で人の性別を確認するのって失礼極まりない。
子どもには絶対に見せたくない内容でした。
だって、このテレビを見たら『性別を確かめたい時は身分証を提示させたり、胸を触ってもいいんだ』と思うかもしれないし。
性の多様性が認識されつつある現代で、本人の了承があるからといって放送するのはありえないですね…。
コメンテーターの若一光司氏が「人権感覚の欠如」と指摘
このVTRを見たコメンテーターの若一光司さんが激怒してくれました。
「たとえご本人がテレビに出ることを了解していても、個人のセクシャリティにそういうアプローチをすること自体が人権感覚、人権意識にもとります」
これに対し、アナウンサーや他のキャスターはなんのコメントもなく、沈黙していました。「番組として不適切でした」くらい言ってもいいレベルなのに。
性別は人の数だけある
性は人の数だけ存在すると言われています。
「男」「女」という二つの性別だけにあてはまらないセクシュアリティの人もいます。それは本人にしかわからないこと。
中性・無性(Xジェンダー)という性があるんですから。
男性、女性のどちらかに規定できない性を持つ人。
わたしが住むカナダでは様々な方法でジェンダーに関する人権が守られています。
- パスポートに女性でも男性でもない第三の性「X」の記載が可能
- 世界初、性別不明と認められた赤ちゃんが誕生
- ジェンダーニュートラルのトイレが普及
外見的なことだって、男の人が髪を長くしてもいいし、女の人がショートカットヘアでも別にいいわけですよね。
社会から求められる「男はこうあるべき、女はこうあるべき」という概念自体、社会が作り出してしまったもの。それによって嫌な思いをしている人はたくさんいます。
関連記事:「ピンクシャツデー」でイジメ反対を訴える!ある男の子がピンク色のシャツを着てイジメられた話
ツイッターの意見
ツイッターの意見を拾ってみました。正直、いろんな人が番組に疑問を感じてくれているんだと思うと、自分の心も多少なり救われましたね。
私も見てて不快に思いました。免許証提示までさせて性別を確認する必要があるのかな?興味本位で一般人を晒し者にしてるように感じました。若一さんの仰る通りだと思います。
— ポップコーン (@nonnonyume11) 2019年5月10日
観てて不快でしたね。
店員の女性はひたすら紙で顔を隠して藤崎マーケットに性別聞いてきてと言い、
藤崎マーケットがお名前フルネームで教えてと言うと彼は何故ですか⁉️と拒否された時点でやめるべき。そして放送しないべきですね。— E (@rikameroron) 2019年5月10日
今日のtenのコーナーで、常連さんが男か女かわからないから調べてみたいなやつやってて、えっこれは…と思っていたら、コーナーが終わるなり若一さんがめっちゃ怒ってくれて、あー良かったと思った。てかほんと制作側の意識低すぎ!tenけっこう好きだからガッカリしたわ…。
— ジゼル (@giseleyashar007) 2019年5月10日
こう言う放送は、子供のイジメに繋がると嫌なのでホントやめて欲しい。「性別当てゲーム」とか学校でやりはじめたら最悪です。
生放送で胸触り性別確認…「人権感覚欠如」番組に非難殺到
https://t.co/xVhD7PtCP2 #女性自身 @jisinjp— Qoo (@qoo_11) 2019年5月12日
追記
追記:局総合広報部は以下のように謝罪しました▼
5月10日(金)に放送した『かんさい情報ネット ten.』(月~金 夕方4:47)内のコーナー企画「迷ってナンボ!」の中で、一般の方に対し性別を確認するなど、人権上、著しく不適切な取材を行い、その内容を放送致しました。
視聴者及び関係者の皆様に深くお詫びします。
人権に関して強く意識すべき放送局である当社がこのような事態を招いたことについて、当社としては、重く受け止めています。当該放送に至った経緯を詳細かつ徹底的に検証するとともに、今後はこのようなことが無いように再発防止に向けた具体的な対策に早急に取り組み、視聴者の皆様からの信頼回復に向けて努めてまいります。
なお「迷ってナンボ!」につきましては、当面の間、放送を休止いたします。
2019年5月13日 讀賣テレビ放送株式会社
ハフポより引用
すぐに謝罪をしたのは対応として良かったです。
でも、謝罪で終わるだけでなく、研修がしっかり行なわれ改善されるといいな〜。傷つく人や不快に思う人がいたのは事実だし。
不特定対数の人を相手にテレビを作るのだから、当たり前のことだと思う。最近つくられたLGBT報道ガイドラインは、メディア・ブログ・情報発信に関わる人は必読といえます。
個人の性別を「調べる」ために、免許証を提示させたり、胸を触ったりすることが許されていいわけがないですからね…。
こういったテレビ番組が少しでも減るように、祈るばかりです。
番組への意見は以下からできました。
→番組へ意見
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。