LGBTQ+に関する用語に「カミングアウト」という言葉があります。
カミングアウトとはどんな意味なのでしょうか?
また、わたしが親や友人にカミングアウトした時の反応も体験談として書きました。
カミングアウトについて詳しく書いていきます。
この記事でわかること▼
- カミングアウトとは?
- カミングアウトとアウティングの違いは?
- カミングアウトした芸能人は?
- カミングアウト体験(親や友人の反応)
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カミングアウトとは?
カミングアウトとは、LGBTQ+当事者が自分の性的指向や性自認を第三者に打ち明けることをいいます。
性的指向は「どのような性別の人を好きになるか?」のことで、性自認は「自分自身が自認している性」のこと。
わかりやすく例えを挙げると、「わたしはゲイなんだ」と友人や家族に伝えることです。
カミングアウトの由来・歴史
「カミングアウト」は、LGBTQ+コミュニティで長い間使われてきた言葉ですが、
最初は「LGBTQ+のコミュニティに参加すること」を意味していたんです。
それがそのうちに、「ゲイである」「レズビアンである」などと第三者に打ち明ける意味に変化していきました。
カミングアウトの英語・語源
英語ではcoming-outまたは come outと表記されます。
元々の語源は「Coming out of the closet」で、クローゼットから出てくる比喩からきています。
カミングアウトの対義語
カミングアウトの対義語は「クローゼット」といわれます。
クローゼットとは自分の「性自認・性的指向を隠す」という意味です。
クローゼットって衣類をしまう・隠す場所ですよね?
LGBTQ+当事者の心にたとえて、「クローゼット」と呼ばれるようになったわけです。
英語での表記はそのままclosetです。
カミングアウトの言い換え・別の言い方
カミングアウトには別の言い方があります。
それは、カムアウトです。略してカムアと呼ばれることもあります。
また、カミングアウトしたことを、「カムした」ということも。
特にツイッターなどの文字数が制限されるSNSでは略して使う方が多い印象です。
別の言い方では「自分のセクシュアリティをオープンにする」とも言います。
セクシュアリティとは、からだの性、性自認、性的指向、性表現の4つの要素のことです。
カミングアウトの特徴
カミングアウトの最大の特徴は、「カミングアウトは1度きりではない」というところです。
家族や友人、近所や職場の人、そして新しく出会う人。
異性愛前提の社会である限り、カミングアウトはLGBTQ+当事者にとって何度も続くんですよね。
また、何気ない「彼氏(彼女)いるの?」などの異性愛前提の会話はマイクロアグレッションにあたります。
マイクロアグレッションについては別記事で書きました。合わせて読んでみてくださいね。
国際カミングアウトデーとは?
毎年10月11日は国際カミングアウトデーと呼ばれるものがあります。
国際カミングアウトデーとは、自分の性的指向や性自認をカミングアウトした当事者の人たちをお祝いする日。
アメリカから世界各国に広まりました。
日本のメディアや企業などでは、カミングアウトを「秘密を打ち明けること」の意味として使われることが多々ありますが、
カミングアウトはLGBTQ+の人権に関わる非常に重要な言葉なので、
本来のカミングアウトの意味や国際カミングアウトデーの背景を知っておくことは大事でしょう。
カミングアウトした芸能人は?
日本にはカミングアウトしている芸能人が複数います。
例えばこんな方々です▼
- 一ノ瀬文香(レズビアン)
- 與真司郎(ゲイ)
- カズレーザー(バイセクシャル)
- 佐藤かよ(トランスジェンダー)
- 宇多田ヒカル(ノンバイナリー)など
與真司郎さんや宇多田ヒカルさんは2020年代に公表したので、わりと最近のカミングアウトでしたね。
大きくニュースにも取り上げられたので、知っている方も多いのではないでしょうか。
カミングアウトをネタにしたドッキリについて思うこと
カミングアウトといえば、LGBTQ+当事者によっては大きな出来事です。
しかし、一部のユーチューブネタで「親にゲイだとカミングアウトするドッキリ動画」を見かけます。
他にも以下のような企画をよく見かけます。
- 親にゲイだと言ってみたドッキリw
- 男が男にガチ告白ドッキリw
- 同性に告白ドッキリw
長年笑いのネタとしてテレビで消費され、差別が助長されてきましたが、Youtubeの時代になっても続いているのが残念です。
また、エイプリルフールにLGBTQ+当事者だと公表し、「実は違いました~!」と笑いのネタとして消費する芸能人も過去に何人もいました。
ドッキリを仕掛けている側や、エイプリルフールに嘘をついている側は実際にはLGBTQ+当事者ではありません。
何が不快って、実際にはLGBTQ+当事者じゃないのにネタに使うとこなんですよね……。
未だにテレビのドッキリ企画でもありますね。子どもには絶対に見せたくないです。
偏見や差別を助長するだけですから。
「ドッキリだよ。ゲイなわけないじゃん」と伝えた後は、みんなで爆笑するのが流れです。
相手が戸惑ったり、拒絶したりしているのを影で笑うのって悪質すぎますよ。
人を傷つける内容で小銭稼ぎをしているのが腹立たしい。
嘘のカミングアウトを受けた親が「きもい」と言い放つ場面もありました。
それを電話越しで笑っている状況にも憤りを覚えましたね。
個人的な偏見でLGBTQ+当事者を排除する流れを作っているとしか思えません。
LGBTQ+当事者は「カミングアウトしたら親を苦しめるんじゃないか?」とか「拒絶されたらどうしよう?」と不安を抱えているんです。
親に拒絶されて楽しむ姿なんて見たくありませんよ…。
悪質なドッキリはやめてほしいですね。
カミングアウトとアウティングの違いは?
次に、カミングアウトとアウティングの違いについて説明しますね。
カミングアウトとアウティングは混同されがちですが、全く意味が違います。
簡単に説明するとこんな感じです▼
- 自分の性的指向や性自認を自分で第三者に打ち明けることを「カミングアウト」
- 自分の性的指向や性自認を勝手に第三者に暴露されるのが「アウティング」
もしもカミングアウトを受けたとしても、アウティングをしないように注意が必要になるんです。
アウティングについては詳しく別記事に書いています。
同時に知っておきたい言葉ですよ▼
カミングアウトにおけるゾーニングとは?
LGBTQ+当事者にとって以下の判断は常につきまといます。
- カミングアウトする?しない?
- カミングアウトする人は誰?
- いつする?どのタイミングで?
- どの内容まで伝える?
アウティングされるのを防ぐためや、不要なトラブルを避けるために、
上記のゾーニングを考えているLGBTQ+当事者は多くいます。
わたしも新しい人に出会うたびにどこまでカミングアウトをするのか、未だに悩みますね。
わたしのカミングアウトのきっかけ
続いて、わたしのカミングアウトのきっかけについて書いていきます。
カミングアウトしようと思ったきっかけは?
まず、カミングアウトしようと思ったきっかけについてお話しますね。
わたしが同性パートナーと付き合い始めたのは2015年のこと。
当時はまだLGBTQ+という言葉も今ほど浸透していませんでした。
「このまま誰にも言わずに生きていこう」と何度も思いましたが、そう思えば思うほど、胸が苦しくなっていたんです。
もうこれ以上、自分にも周りにも嘘をつき続けるのはできない。
そう思ったのがきっかけです。
詳しくは別記事にも書いてあるので、ぜひ読んでみてくださいね。
カミングアウトをわざわざする理由は?
LGBTQ+当事者がカミングアウトをする理由ってなんでしょうか?
「わざわざカミングアウトしなくてもいいのでは?」という意見もあれば、
「さらっとカミングアウトすればいいのに」という異性愛者の人たちの意見があります。
カミングアウトをする大きな理由としては、黙っていれば自動的に異性愛者としてみられてしまうからです。
親や親族から「結婚は?」と言われたり、学校や職場で恋愛の話になることもあるでしょう。
異性愛者のフリをして生きていくことは、LGBTQ+当事者にとって決して心地いいものではないんですよね。
かといって「カミングアウトすればいい」という単純なことでもないんです。
長年、笑いのネタにされてきたり、間違った情報から差別を受けてきたのでカミングアウトするのに不安を抱くのは当然なのです。
安易にカミングアウトするのもリスクが大きすぎるし…。
なので、カミングアウトは、周りの人が「すべき」「すべきじゃない」と決められるものではありません。
LGBTQ+当事者が置かれている状況や環境において、自分がより生きやすい方を選んでいいのです。
どこかの企業でカミングアウト禁止という謎ルールがありましたが、
「カミングアウトする・しないは個人の選択である」ということは頭に入れておきたいもの。
異性愛者の方も、学校や職場で自分の好きな人の話や家族や子どもの話をしますよね?
自分のプライベートな話をするのは、たとえLGBTQ+当事者であっても当たり前のことなのです。
カミングアウトされた側の気持ちと反応
最後に、カミングアウトされた側の気持ちと反応を紹介します。
わたし個人のカミングアウト体験談です。
母親にカミングアウト反応は?
わたしが最初にカミングアウトしたのは母でした。
母から言われた言葉は今でも忘れません。
人を好きになるのに、国籍も性別も関係ない。自信を持ちなさい。
そう言われて、号泣しました。
幸い、母は受け入れてくれ、今でもいい関係を築くことができています。
母親にカミングアウトした時のことは、別記事で詳しく書いているので、ぜひ読んでみてくださいね。
親戚の叔父にカミングアウト・反応は?
親戚の叔父にカミングアウトした時の反応は人生でいちばん最悪でした。
- 孫の顔を見せないのは親不孝
- 外国の話を聞いているようで理解不能
- 自分の娘だったら受け入れらない
- 自分の娘じゃなくてよかった
と言われました。
今思い返しても、酷い言葉だったなと…。
カミングアウトしたことを後悔しました。
しかし、当時はLGBTQ+という言葉もまだ浸透しておらず、
叔父が生きてきた人生ではLGBTQ+の正しい情報を得られなかったのも事実。
「仕方がなかった」…では済ませたくないですが、叔父の気持ちが全くわからない訳ではないな、と今では思うこともあります。
異性カップルでも子どもを持たない・持てない方も多くいますよね。
また、わたしのように子どもを育てている同性カップルもいます。
海外だけでなく、日本にもLGBTQ+ファミリーがいることは知っておいてほしいです。
友人にカミングアウト・反応は?
わたしはこれまでに何度も友人にカミングアウトをしています。
中学時代の友人や新しく出会った友人…。
カミングアウトには終わりが来ないのが現実なんですよね。
一番むずかしかったのは、中学時代の友人へのカミングアウトです。
10年間カミングアウトできず、疎遠になってしまったことも。
カミングアウトできていない友人は今でもいますが、カミングアウトした時には、下記のような反応が多かったです。
- 驚いたけど、幸せなのが一番だよ
- 早く言ってくれればよかったのに!
- 伝えてくれてありがとう
友人へのカミングアウトは、驚かれることはありますが、今までと変わらない友人関係を築けていけています。
カミングアウトまとめ
この記事では、カミングアウトの意味や実際にカミングアウトした時の親・親戚・友人の反応などについてまとめました。
親に拒絶されたり、絶縁された人の話もよく聞くので、決してカミングアウトを推奨しているわけではありません。
カミングアウト関連記事▼
カミングアウトに関連した書籍はこちら▼
書籍「カミングアウトレターズ」は書評を別記事に書いています▼
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
子たちも嬉しそうに収穫していました。