「同性カップルは長続きしない」「同性カップルはうまくいかない」とよく言われます。
だから同性同士を結婚させるわけにはいかないのだと。
わたしは同性パートナーと付き合って8年を迎えました。
長い月日を一緒に過ごしてきました。
でも、そもそも長続きするとかしないが、同性婚を反対する理由になるのっておかしいと思うんですよね。
キムとの8年間を振り返りつつ、思うことを書いてみました。
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同性カップルは長続きしない?
まだカミングアウトしていない頃にこんなことを言われました。
「同性婚が悪いとは思わないけど、同性カップルって長続きしないよね」と。
著名な同性カップルの破局ニュースが流れると、「最終的に別れるんだから同性婚には反対!」という声が溢れるんですが、
でもこれって、同性カップルが式を挙げたり破局したらニュースになるので目立つだけでは?と思うんです。
異性カップルだって別れることもある
ある議員さんが「同性カップルは長続きしないのだから婚姻制度は不要」と言い放ちました。
異性カップルであっても離婚しているケースはたくさんあります。
異性カップルでも同性カップルでも相性が合わなければ別れるし離婚するのって当たり前のこと。
それに長続きしそうな異性カップルだけが婚姻制度を利用できるわけじゃないですよね。
「同性カップルだから長続きしない」「異性カップルだから長続きする」と、
安易に性別で分けるのは違うと思うんです。(逆も然り)
別れを選ばなきゃいけなかった同性カップルが多くいるのも事実
先日、札幌地裁で「同性婚ができないのは違憲である」と判決が下されましたが、
まだ立法化にまでは至っていないので、日本では同性婚ができない状態です。(2021年現在)
同性同士で結婚ができない日本では、将来が見通せなかったり、婚姻制度で守られるべき保障がされなかったりするんです。
また、国際同性カップルのケースでは「配偶者ビザがおりない」という問題もあります。
配偶者ビザがおりないので、愛する人と同じ国で暮らせないんです。
そういった意味では、別れたくなくても関係を解消せざるえなかった同性カップルが多くいるのも事実。
同性同士だから長続きしないのではなく、制度がないから別れるしかなかったんです。
同性パートナーと付き合って8年が経ちました
2021年4月4日。
同性パートナーと付き合って8年が経ちました。
わたしたちが付き合ったのは2013年です。
あと2年も経てば10年。そう思うと、感慨深いものがあります。
<下に続く>
8年前、キムと付き合うことを決めた時、しばらく誰にも言えなかった。
隠し通せる自信がなくて、勝手にたくさんの人間関係を終わらせた。
いきなり音信不通になってとても心配かけたと思う。
好きな人と一緒にいられる時間は何より幸せなはずなのに、この幸せをどうして隠さなきゃいけないんだろうと思っていた。
7年前、「同性の外国人だから」という理由で、日本ではキムと一緒に暮らせない現実を知った。
(外国人同性パートナー在留資格訴訟についてはこちらの記事から)
「キムと人生を歩んでいく」と決意して日本を離れた。
母親に大号泣しながらカミングアウトしたのもこの年。
でも父親や中学の親友には言えず、静かに消えるように日本を飛び立った。
6年前、キムがプロポーズしてくれた。
同じ家に住んで、同じご飯食べて、同じ景色を見て。何気ないことで笑いあえる日常がすごく心地よくて。
5年前、同性婚ができるカナダで結婚した。
森と海に囲まれた大自然のなか、駆けつけてくれた家族や友人に見守られて愛を誓い合った。
(結婚式の様子は別記事へ)
「あぁ、日本では一緒に暮らせないけど、ここでは《ふうふ》として生きられるんだ」と嬉し泣きをした。
あとで写真を見返したら母が泣いていた。父は笑っていた。
4年前、思い返せばいろんなことをふたりで乗り越えてきた。
どうしようもなく泣けてきた時も、
「キムがいれば大丈夫だろう」と思ったし、きっとキムもおんなじ気持ちだったと思う。
3年前、犬のウィニーを新たに家族として迎え入れた。
2年前、双子が産まれた。
長い長い道のりを超えてようやく会えた。
ふたりが産まれたあの日のこと。お医者さんと看護師さんたちには感謝しかありません。
初めてもらった出生証明書。
Parent(親)の欄に、わたしの名前とキムの名前が並んで書かれていて。
母親・父親の表記ではなく「親」と表記されていたのが心底嬉しかった。
1年前、引越しやコロナ、異動でバタバタの毎日のなか、双子は無事に1歳になった。
ふたりだけの時間はもちろん減ったけど、
変わっていく部分と変わらない部分の両方があって、そういう繰り返しみたいにみえる日々の積み重ねが「家族」なんだと思った。
そうして一緒に過ごしてきた8年間。
「同性同士の恋愛や結婚なんてうまくいかない」と親戚に言われ、「同性カップルは長続きしない」と見知らぬ人に言われ、
それでも迎えた8年目です。
ものすごくツマラナイように思えた日々が、キムのおかげでものすごく刺激的な毎日になった。
この8年間は楽しいだけじゃなかったけど、
悲しいとか苦しいとか、どうしようもない気持ちとか、バカヤロ〜って気持ちとか、
そういう負の感情もぜんぶ引っくるめての今だし、わたしたちだと思う。
わたしたちの人生だと思う。
もうすぐ結婚して5周年になる
ことし2021年6月には結婚して5周年を迎えます。
(同性婚ができない日本ではふうふじゃないと言われてしまうのだけど)
キムのおかげでもっと色んなことを考えるようになった。
8年前のあの時、キムと出会っていなかったら、今のわたしは確実にここにいない。
数々の不思議な偶然が重なって出会えた。
これからも一緒に笑って泣いて、喧嘩もして泣いて、時にお互い意地悪になってまた優しくなって。
そういう日々を歩んでいくと思う。
振り返れば、8年という長い月日を一緒に過ごしてきた。
だけど、伝えたいのは「同性カップルとして長続きしているから日本で結婚させてほしい」ということではありません。
同性カップルが長続きするとかしないとか、うまくいくとかいかないとか、そういうことを理由に「他人の婚姻の自由を侵害するのは間違っている」から。
日本でも一刻も早く同性婚が法制化されることを願っています。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。