LGBTQ+やジェンダーに関するフォビアは、「嫌悪や憎悪」といった意味合いを持ち、
無意識のうちに差別の根源になりやすいものです。
この記事では「LGBTQ+に関するフォビアの種類」をまとめました。
また、フォビアをなくすためにできることも考えてみました。
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LGBTQ+やジェンダーに関するフォビアの種類
LGBTQ+やジェンダーに関するフォビアをまとめてみました。
- ホモフォビア(homophobia)
- トランスフォビア(transphobia)
- レズフォビア(lesphobia)
- バイフォビア(biphobia)
- アセフォビア(asephobia)
- フェムフォビア(femphobia)
- インターナライズド・ホモフォビア(internalized homophobia)
カタカナだとわかりにくい言葉ばかり並びますが、同性愛嫌悪やLGBTQ+嫌悪のことです。
この場合のフォビアは恐怖症という意味合いではなく、「嫌悪や憎悪」という意味に訳されます。
それぞれのフォビアを詳しく解説していきます。
①ホモフォビアとは?
ホモフォビアとは、同性愛者に対しての嫌悪感や偏見を持つことです。
わかりやすくいうと、「ゲイって気持ち悪い」などという感情を持つことですね。
「ゲイの人から性的加害を受けたから、LGBTQ+は認めるべきではない」と言う意見を聞いたことがあります。
こうした排除的な意見はホモフォビアからよく発信されますが、全ての同性愛者がセクハラの加害者なわけではありませんよね。
世の中のセクハラ加害者は圧倒的に男性ばかりですが、全ての男性がセクハラ加害者であるわけないのと同じ。
ホモフォビアについては詳しくは別記事に書きました!!
こちらからお読みいただけます▼
②トランスフォビアとは?
トランスフォビアとは、トランスジェンダーの人に対しての嫌悪感・否定的な価値観を持つことです。
英語での表記は「transphobia」です。性別移行嫌悪とも言われるそう。
「トランス女性を装って性犯罪をする人が増える」などの排除的なメッセージはトランスフォビアによるものです。
Twitterでは「#トランス女性への差別に反対します」とハッシュタグで発言することで、「差別は許しませんよ〜」と表明することができます。
トランスジェンダーという存在そのものを否定する言動は差別でしかありません。
遠藤まめたさんの「ひとりひとりの『性』を大切にする社会へ」という本がわかりやすいので、おすすめ本として挙げておきます▼
トランスジェンダー当事者をとりまく状況を知るにはこちらの本▼
また#KuToo発信者の石川(@ishikawa_yumi)さんのブログもわかりやすかったのでリンクを貼り付けておきます。
③レズフォビアとは?
レズフォビアとは、レズビアンに対する嫌悪感・偏見や否定的な価値観を持つことです。
グーグル検索で「レズ」と検索するとたくさんのアダルトサイトが出てきますよね…。
アダルトなイメージがあったり、差別的な文脈で使われてきた歴史や経緯があるため、レズという言葉は差別用語にあたります。
④バイフォビアとは?
バイフォビアはバイセクシャルへの嫌悪です。
バイセクシャルは、同性の人と付き合っている時は「レズビアンやゲイと認識される」んですが、
異性の人と付き合っている時は「異性愛者と認識される」んです。
なので、同性愛コミュニティからは「バイお断り!」と排除され、異性愛コミュニティからはホモフォビアに排除されることがあります。
関連記事はこちら▼
<下に続く>
⑤アセフォビアとは?
アセクシュアルの人に対しての嫌悪です。
アセクシャルとは、性別に関係なく、他者に対して恋愛感情や性的欲求がないセクシュアリティのこと。
無性愛者やA(エイ)セクシャルとも言いますね。
「恋愛しない人生なんてつまらない」とか、「人を好きにならないのは変」などはアセフォビアによるもの。
⑥フェムフォビアとは?
フェムフォビアは「フェミニンな男性」に対して嫌悪感や否定的な価値観を持つことです。
フェムフォビアはゲイコミュニティで近年問題になっています。欧米ではゲイ向けのデートアプリなどで「masc4masc(男らしい男を探す男らしい男)」や「No Fem (女々しいのは来るな)」と書いたプロフィールが多くなっていると話題になりました。引用Jobrainbowより
フェムフォビアは「男は男らしく!」を押し付けてきます。
特に男性から男性へと投げかけられることが多いそう。
肉食男子が草食男子をバカにしたりするのもフェムフォビアによるもの?とふと思いました。
男の子に降りかかるジェンダーバイアスが学べる本がおすすめです▼
⑦インターナライズド・ホモフォビアとは?
他にもインターナライズド・ホモフォビア(internalized homophobia)という言葉もあります。
翻訳すると、「内在化した同性愛嫌悪」となります。
つまり、LGBTQ+当事者が自分自身のセクシャリティを嫌悪することを意味します。
わたし自身、カミングアウトするまでインターナライズド・ホモフォビアに苦しみました。
自分自身がLGBT当事者だという事実を受け入れたくなかったんです。
インターナライズド・ホモフォビアが原因で自殺に追い込まれていく当事者も多くいます。
フォビアによるLGBT+迫害や差別は深刻です
ホモフォビアとは?の記事内でも書いたのですが、
フォビアによるLGBTQ+迫害や差別は本当に深刻なんです。
日本だけでなく世界中で問題視されています。
フォビアによって殺された当事者も多く、殺人事件に巻き込まれた当事者もいます。
わたし自身もフォビアに会ったことがある
事件に巻き込まれるほどではなくても、すぐ身近にフォビアが存在するのも厄介なところです。
わたし自身もホモフォビアに何度か遭遇したことがあります。
また「LGBT+を認める認めない問題」が議論にあがることもしばしば。
LGBTQ+当事者は様々な場面でフォビアから受ける抑圧に遭遇します。
マイノリティを排除しないためにも、マイクロアグレッションという概念を知っておく必要がありますね。
フォビアをなくすために私たちができること
わたしたちの社会は異性愛前提の社会なので、差別しようと思っていなくても、無意識のうちにフォビアになって差別に加担している可能性は十分にあるんです。
では、フォビアをなくすためにはどうしたらいいのでしょう?
- まずは「LGBTQ+の人ってこうしてほしいんでしょ」という思い込みや偏見に気づく
- 無意識に行いがちなマイクロアグレッションの概念を理解する
- 多様性を実現する社会のために「自分の特権」を自覚する
- LGBTQ+を笑ったり笑い者にしない、あるいは可能な限り食い止める。
- 友人や先生、友人の親、部下や上司、家族などあらゆる身近にLGBTQ+当事者がいるかもしれないと想像する
上記のような考えを個々に持ち合わせることで、フォビアからのマイクロアグレッション・偏見・いじめ・差別を減らしていくことができるのではないでしょうか。
「自分は差別しているかもしれない(だから気をつけよう)」と疑っておくことが多様な社会へと近づくのだと思います。
「自分は差別していない」と言い切るのではなく。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
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