カナダにあるピアソンカレッジという学校で、校内プライドパレードが開催されました。
家族と、そして、約50人50カ国出身の生徒たちと共に歩いてきたので、
感じたことを書いておきます。
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ピアソンカレッジで校内パレードが開催されるまで
先日、ピアソンカレッジ校内でプライドパレードが開催されました。
ピアソンカレッジとは「人種、性別、貧富、国籍に関わらず全ての人が平等に学問に取り組むべき」
この理念に基づいて運営されている全寮制の学校です。
わたしはそんな小さな地球のような場所、ピアソンに住んで、もう7年になります。
ピアソンカレッジでLGBTQ+グループを作った時のこと
7年前に、この場所でパートナーのキムとLGBTQ+グループを作った時は2人しか来なかった。
最初はその2人の生徒と、わたしとキムの4人でお茶を飲みながら、時に楽しく時に真面目に話した。
集まりには来れないクローゼットの生徒たちは、夜中にこっそりお家に来てくれて夜な夜な語り合って。
今でこそ自己紹介の際には必ずpronoun(自分が呼ばれたい代名詞)をシェアするようになったけれど、
あの当時はジェンダーインクルーシブトイレや寮部屋もなく、校内プライドパレードもなかった。
パンセクシャルやアセクシャルなどの言葉も浸透しておらず。
これが「世界的な人権問題なんだ」と気づくのには、LGBTQ+グループを立ち上げてから3年後くらいのことでした。
LGBTQ+グループに所属する生徒が増えた理由
それから毎年だんだんLGBTQ+グループのメンバーが増えました。
翌年には5人、その翌年には10人、またその翌年には20人と。
この7年の間にジェンダーインクルーシブのトイレや寮部屋を作り、
プライド月間に学校側からコメントを掲載してもらって、
先生たちが生徒をプライドパレードに連れて行ってくれた。
LGBTQ+イベントでは、当事者の生徒が主体になって企画して、
わたしとキムの結婚式の映像が全生徒の前で流れたことも!
自宅が世界中のLGBTQ+当事者の生徒40人で溢れかえった時は、さすがに驚いたのですが、
でも決して「LGBTQ+当事者」が増えたのではないんですよね。
ピアソンカレッジ全体での様々な取り組みによって、
7年前よりも自分が自分でいられる場所になったことで、カミングアウトしやすくなったのだな〜と思う。
LGBTQ+という言葉がなくなればいいなとか、わたしも考えていた時期がありました。
でもそうじゃないんだなって。特別に扱うわけでも、扱われたいわけでもなく。
この7年間、きちんと問題提起しながら必要な制度を学校内に作ってきたのです。先生や生徒と一緒に。
<下につづく>
約50人50カ国出身の生徒と共に歩いた
そして先日、ピアソンカレッジで校内プライドパレードが開催されました。
子どもたちは「Love is Love」のプラカードを背に、スカーフをマント代わりに準備万全!!
実は子どもたちが背負っているこのプラカード、
2017年にカナダのバンクーバープライドパレードで、わたしが路上フリーハグをした時に使っていたもの。
最初は生徒がたったの2人だったLGBTQ+グループ。
校内プライドパレードを開催できるようになるなんて、それも子どもたちを連れて歩けるなんて…。
当時は想像もしなかったなと思いながら、感慨深い気持ちでした。
待ち合わせ場所に到着すると、もうすでに生徒たちが集まっていました。
パレード初参加の子どもたちはみんなから「可愛い〜〜!!!」と言われまくって、ちょっぴりご満悦。
先生がレインボーのトラックを運転してくれて、みんなで歩き出した。
それぞれのプライドを掲げて。
ワクワクとドキドキとそわそわを掛け合わせた感情が入り混じりながら、
子どもたちと手を繋いで一歩ずつ歩いた。
子どもたちのペースで歩いたので、だいぶ後方になってしまいましたが。
この校内プライドパレードには約50人50ヵ国の生徒が参加しました。
母国に帰れば同性愛が死刑になる生徒。終身刑やむち打ちの刑になる生徒。
刑務所にいれられる生徒。当事者の友人や家族を亡くした生徒。
ゲイバー銃乱射事件が起きた国が出身の生徒。虐められ虐待されていた生徒。
誰も理解してくれないと諦め、いのちをたつ選択をしようとしていた生徒。
ふたりパパやふたりママを親にもつ生徒。
アライになった生徒。当事者の先生たち。
そして歩きたかったけど歩けなかった生徒。
こんなにもプライドをかみしめ、感極まりながら歩いたのは初めてかもしれない。
約50人50カ国で歩くプライドパレード。
歩くだけになんの意味があるのかと思う人もいるかもしれない。
でも、それぞれの国のことを考えると、「みんなで歩く」そのシンプルなことがどれだけ意味のあることなんだろう!
わたしはパレードの後方でしみじみとした気持ちになっていたけど、生徒たちはみんな心から楽しんで歩いていました!
プライドパレードというのは、すべての人が、どこの出身であろうと、家族から拒絶されようと、他者から否定されようと、
自分自身であることを心からお祝いする日でもあるんだな〜と改めて思いました。
世界的な人権問題である
世界には同性愛を罪とみなす国が今でも数多く残っています。
同性同士で婚姻ができる国はまだ世界でたったの1割。
世界の約70カ国では今でもLGBTQ+当事者は迫害され続けています。
親族に惨殺される事件も珍しくありません。
(日本は死刑がないだけマシ!と言われることもあるけど、殺されること前提なのが怖すぎます)
社会的承認がなくても、マジョリティの理解や許可がなくても、当たり前に誰もが生まれた時に持っているものが「人権」です。
約50人50カ国で歩くプライドパレードを通して、
これは人権問題なんだと、それも世界的な人権問題なんだと、改めてそう確信しました。
これからのわたしは
これからわたしはどうやって発信をしていくのか、少し考える時期にいます。
立ち止まって考え、もしかしたらまた動き出せるかもしれないし、もう止まったままになってしまうかもしれない。
身動きとれずに、ただ泣いているだけになってしまうかもしれない。
それでも、わたしは今日、約50人50カ国の生徒に囲まれながら、
家族と初めて、小さな小さなプライドパレードを歩けて本当に幸せでした。
追伸:
帰ってから「プライドパレードどうだった?」と聞いてみたら「たのひかった!!」と笑顔で言っていました。
次は6月に開催されるカナダのプライドパレードに家族で歩けたらいいな〜。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。