現在、「外国籍同性パートナーの在留資格」を求めた裁判が行なわれています。
外国籍であっても、異性のパートナーであったら家族として日本に住むことができるのに、
同性のパートナーであるという理由で家族として扱ってもらえていない現状を訴えている裁判です。
この記事では、外国人同性パートナー在留資格訴訟についてまとめました。
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国際同性カップルが抱える問題について
ブログを読んでくださっている方は知っていると思うのですが、
わたしにはカナダ人の同性パートナーがいます。
2016年に国際同性婚をしました。(結婚式の記事はこちらへ)
カナダでは2005年から同性婚が法律上できるので、カナダでは当然のごとく、わたしたちは家族としてみなされています。
わたしたちのような国際同性カップルは日本で一緒に暮らすことができません。
外国籍の同性パートナーの在留資格が降りないからです。
異性同士の国際カップルだったら、在留資格が降りるのに。
国際同性カップルは日本で共には暮らせない
同性カップルである、わたし(日本国籍)とわたしのパートナー(カナダ国籍)の場合、
日本で共に暮らすにはどうすればいいのでしょうか。
それは、日本人であるわたしが日本国籍を放棄し、国籍を変えれば日本に住めるんです。
国籍を変えるというのは「同性婚ができる国の国籍に変える」ということです。
日本人なのに日本に住めない。外国人になれば日本に住める。なんとも酷い話です。
たまに「同性婚ができるカナダに住んでいるからいいじゃん」と言われることもあります。
でも、そういうことではないんですよ。
例えカナダを選んだとしても、選択肢がないのとあるのは全くちがいます。
選べないのと選ばないのは違うから。
わたしが日本国籍を捨てたら日本に家族で住めるって「国からの差別」としか言いようがない。カナダに住んでいるからいいじゃんとか、そういうことではない。例えカナダを選んだとしても。選択肢がないのと、選択肢があるのは全く違う。選べないのと選ばないのは違うから。#結婚の自由をすべての人に
— まどぅー🏳️🌈旅するダンサー👶👶 (@madocanada) November 25, 2020
多くの国際同性カップルは、こうした理不尽な制度を理由に日本から追い出されてしまっています。
日本人なのに、家族として住む権利があるべきなのに、同じ人間なのに、
性別や性的指向によって受けられる制度がちがうのはオカシイと感じます。
国際同性カップルは離れ離れになる可能性がある
外国人同性パートナーが日本で仕事をしていて就労ビザを持っていたとしても、
いつビザがなくなるか、不安な国際同性カップルも多くいます。
長年にわたり日本人パートナーがいても、ビザが切れた時点で離れ離れにさせられてしまうのです。
家族が離れ離れになったケースも
日米の同性カップルさんで、アメリカ人ママのビザが切れて国外に出ざるを得なかった方もいます。
ふたりの間にはお子さんがいますが、子どもも一緒に国外に出なければならず、
娘さんが日本人ママに20ヶ月会えてないというケースもあります。
配偶者ビザがあれば、こんなことはないのに。。
日本に20年以上暮らしていてもビザが降りないのです。制度によって家族がバラバラになってしまうのです。
共同親権がない&子どもは日本のパスポートを取得できない
国際同性カップルでふたりの間に子どもがいる場合、その子どもは日本のパスポートが取得できないという現状もあります。(ケースは子どもの出自やカップルによります)
日本国籍を持っている人が
日本に住めなくて日本国籍を捨てた人が
日本に住めるし
同性婚も認められるって意味不明。
日本には
こんな意味不明なことが沢山あり「決まりですので、、」と返事され
うちの子達は
日本のパスポートを
持つことが出来なかった。悔しい限り https://t.co/SC8IuK8paL
— LGBT🏳️🌈Two Daddies (@TwoDaddiesLife) November 25, 2020
国際同性カップルに限らずですが、「共同親権がない」という問題もありますね。
日本の法律では同性同士は子どもの親になれないので。
制度は困っている人のためにあるべきなのに。
他にもこんな問題がある
他にもこんな問題があります。
海外に住む国際同性カップルの場合
- 日本に一時帰国中、大きな地震があったら家族で避難所に居られるのか
- 日本一時帰国中、緊急な怪我や病気になったら病院で家族として扱ってもらえるのか
- 日本に住む家族の介護が必要になっても、日本で暮らす選択肢がない
日本に住む国際同性カップルの場合
- 外国籍のパートナーが就労ビザで日本にいるため、仕事がどんなにストレスでも辞められない
- 日本ではいない存在にされる
両方の国で同性婚が認められていない国際同性カップルの場合
例えば、韓国と日本の同性カップルなど、両方の国で同性婚が認められていない国際同性カップルの場合はどうでしょうか。
どちらの国でも、権利も保障も与えられないんですよね。
同じ人間なのに、生まれた国によって受けられる権利に差があります。
「外国人同性パートナー在留資格訴訟」とは?
外国人同性パートナーの在留資格をもとめた裁判を「外国人同性パートナー在留資格訴訟」といいます。
愛する人と「同じ国で生きていく権利」があると訴えているものです。
訴訟を担当している弁護士さんのお言葉をお借りすると、
日本人と外国人同性パートナーが「カップルとして生きていくのが許されるのかどうか」を問うてる裁判です。
<下に続く>
「外国人同性パートナー在留資格訴訟」の争点
日本における在留資格をまとめると、こんな感じです▼
- 外国人と日本人の異性カップル=在留資格可
- 外国人と外国人の同性カップル=在留資格可
- 外国人と日本人の同性カップル=在留資格不可
③にあたる「わたしたちのような国際同性カップル」の在留資格だけが不可なんですよ。
冒頭でも書きましたが、③にあたる日本人が日本国籍を放棄すれば、日本に住めます。
国は「同性カップルは配偶者ではない」という主張なわけですね。
異性カップルであれば在留資格が降りるけど、
同性カップルでは在留資格が降りない矛盾が「裁判の争点」です。
ちなみに②の外国人と外国人の同性カップル=在留資格可と書きましたが、
両方の国で同性婚が認められている国に限るそうです。
在留資格が出ないのは法律違反です
同性婚が認められていない日本の現状においても、在留資格が出ないのは法律違反にあたるんです。
そもそも「定住者ビザ」とは、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認めることができるビザ」になります。
担当する弁護士さんによると、これは入管法(法律)で定められているそう。
それなのに定住者の在留資格を与えないのは違法です。
それだけでなく、家族と暮らす権利を侵害されていること、国際人権法に違反していること、
性的指向による差別は憲法に違反していることを、この訴訟で訴えています。
「結婚の自由をすべての人に訴訟」とはちがうの?
結婚の自由をすべての人に訴訟(いわゆる同性婚訴訟)とは、別に行なわれている訴訟になります。
(個人の尊厳を問うてる裁判という意味では同じですが)
「結婚の自由をすべての人に訴訟」についてはこちらの記事にまとめています。
こちらの記事も合わせてどうぞ▼
「外国人同性パートナー在留資格訴訟」の裁判の現状
現在行なわれている「外国人同性パートナー在留資格訴訟」の裁判の現状をまとめます。
2019年9月にアメリカで結婚した日米同性カップルが、
日本で一緒に暮らせるよう在留資格を求めて起こした訴訟です。(2021年の現在も裁判は継続中)
「外国人同性パートナー在留資格訴訟」の詳しい内容
訴訟を起こしたのは、日本国籍の康平さんとアメリカ国籍のアンドリューさんです。
提訴に至るまでの内容をざっと箇条書きにしてみました。
- おふたりは2004年にアメリカで出会う
- 2015年に米国マサチューセッツ州で結婚
- 2018年にアンドリューさんの日本在留資格の該当性がなくなる
- アンドリューさんは定住者の在留資格の変更を求める
- しかし5回にわたり申請が拒否され、やむなく提訴へ
康平さんとアンドリューさんが出会った10年前は、アメリカでもまだ同性婚が認められていませんでした。
その時にもビザの関係で、アメリカから強制的に追い出されているんです。
そして、新たに日本で生活を始めようと基盤を作っている最中に、今度は日本から追い出されようとしている現状です。
第6回目の期日は2021年3月26日
康平さんとアンドリューさんの現在の裁判状況ですが、2021年3月26日に第6回目の期日を迎えます。
午前11時、東京地裁522号法廷で行なわれます。
応援の声が多ければ多いほど、原告の力になり、裁判官にプレッシャーを与えることもできます。
康平さんとアンドリューさんの意見陳述
第1回口頭弁論・意見陳述に関する記事は、松岡宗嗣(@ssimtok)さんが丁寧にまとめてくださっていました。
ぜひご一読していただき、この問題に関心を持っていただきたいです。
関連記事:
「右利きはビザが必要で、左利きは不要というくらいおかしい」日米同性カップルが在留資格をめぐる訴訟で語ったこと
「外国人同性パートナー在留資格訴訟」の情報
外国人同性パートナー在留資格訴訟を「応援する会」があります。
裁判の傍聴日程や、オンラインイベントなど、主な情報はFacebookページから発信されていますよ〜。
「外国人同性パートナー在留資格訴訟」のまとめ
この記事では「外国人同性パートナー在留資格訴訟」についてまとめました。
日本で外国人同性パートナーは配偶者として、家族として認められません。
国際同性カップルは、毎回このような訴訟を起こして在留資格を勝ち取っていくしか道がないのでしょうか。
ぜひ、当事者ではない方にも関心を持っていただきたく思います。
日本人である自分が国から追い出されてしまうのが差別だと感じます。
家族として住む権利があるべきです。
生活基盤を作っているのに、全て捨てなきゃいけないのはおかしいと思って訴訟を起こしています。
日本の法律でそうなっているから、「日本から出ていけ」と言われることもありますが、
違う国で新たに暮らすのは、将来の計画も立てられないし、人生が不安定です。
我々だけでなく、今同じ悩みを抱えている家族、また将来同じような状況で苦難に直面する家族がなくなるように、今、助けになってほしいです。
以上、国際同性カップル当事者のまどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
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