「結婚の自由をすべての人に訴訟」いわゆる同性婚訴訟では、
「同性カップルが結婚できないのは憲法違反」ということが裁判の争点になっています。
なぜ、同性婚が認められない現状が憲法違反であるのか、わかりやすく裁判の争点をまとめてみました。
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同性婚ができないのは憲法違反である
「結婚の自由をすべての人に訴訟」の原告・弁護側は、
「同性婚が認められていない現在の法律は、憲法に違反している」と考えています。
上記が裁判の争点になっているんですが、その前に「法律と憲法のちがい」について説明しておきますね。
そもそも法律と憲法のちがいとは?
「法律と憲法ってちがうの?同じじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。
法律は、国民に守ってもらうべきルールのことです。この法律をつくるのは国会議員の人たちのお仕事です。
ですが、国会議員の人たちが好き勝手に法律をつくって国民を困らすことは絶対にできません。
それを制御しているのが憲法です。
憲法は国のきまりのなかで最高のものであり、すべての法律は日本国憲法をもとにつくられています。
つまり、憲法は法律の上にある。
そして、「このルール守りなさいよ〜!」と言われている対象は下記です▼
- 法律を守るべきとされているのは、わたしたち国民に対して。
- 憲法を守るべきとされているのは、国家や国会議員に対して。
憲法は、国家権力に対して歯止めをかけるためにあるのが特徴なんですね。
憲法には「同性婚を禁止する」とは書かれていない
この最も強い憲法のなかには、「同性婚を禁止する」とはどこにも書かれていません。
むしろ、その逆。
わたしたち国民は基本的人権が保障されるべきなので、
「同性婚を認めないことこそが憲法違反」という解釈になるわけです!
次の段落では、「じゃあ具体的にどの部分が憲法違反にあたっているの?」について詳しく説明していきますね。
<下に続く>
「結婚の自由をすべての人に訴訟」の主な争点3つ
「結婚の自由をすべての人に訴訟」で原告の方たちと弁護人の主張ポイントをわかりやすく3つ挙げます。
- 「法の下の平等」に反している(憲法14条)
- 「婚姻の自由」が侵害されている(憲法24条1項)
- 「個人の尊厳」が守られていない(憲法24条2項)
この裁判で「憲法違反していますよ〜」と問われているものは主に上記の3つになります。
①憲法14条「法の下の平等に反している」
憲法14条では、わかりやすく説明すると、
「どんな人も人種や性別、信じている宗教や身分によって差別されることは許されないよ〜」と定められているんです。
ですが、実際には異性同士のカップルなら結婚ができるけど、同性同士のカップルでは結婚ができないですよね。
「結婚できない=婚姻制度が受けられない」ということ。
性別や性的指向によって保障や扱いが異なることは不平等であり、差別にあたります。
法の下の平等に反していることが、1つめの裁判の争点になっています。
②憲法24条1項「婚姻の自由が侵害されている」
憲法24条1項では、「婚姻は両性の合意のみに基いて成立する」と定められています。
これは、「結婚するかしないか、いつ誰とするかは自分で決める権利がありますよ〜」というもの。
相手が同性であるという理由で結婚できないことは、婚姻の自由が侵害されていることになります。
これが2つめの裁判の争点になります。
むずかしいことを言っているのではなく、「好きだから結婚したい」という実にシンプルなものを主張しているのです。
③憲法24条2項「個人の尊厳」が守られていない
憲法24条2項では、「結婚に関することは、個人の尊厳に基づきましょう」と定められています。
個人の尊厳とは、言い換えれば個人の尊重。
そして、個人の尊重というのは、人をひとりの人間として尊重する、大事にすることの意味です。
冒頭でも述べた通り、憲法は「国家や国会議員に対して」向けられたものです。
だから、「一人ひとりの人間として個人を大事にしてね?」という憲法を国は守らなければいけないんです。
憲法24条は結婚に関しての条文なので、同性カップルであっても婚姻制度が当たり前に受けられなければおかしい。
これが3つめの裁判の争点です。
同性カップルであるという理由で、相続権や共同親権、外国人パートナーの在留資格が認めてもらえていないのが現状なんですよね…。
なぜ、同性間の結婚を認めてもらう必要があるのか?については別記事に書いています▼
そのほかにも侵害されていること
そのほかにも侵害されていることがあるので、さっとまとめてみました。
憲法13条「個人の尊厳」が侵害されている
憲法13条では、「すべて国民は、個人として尊重される」と掲げられています。
性別や身分、宗教などに関わらず、すべての人が例外なく当てはまります。
憲法24条の「結婚に関することは、個人の尊厳に基づくべき」というところにも通じている部分ですね。
憲法32条「裁判を受ける権利」が侵害されている
「結婚の自由をすべての人に訴訟」は全国5カ所でいっせいに行なわれていますが、
なぜか東京裁判だけが本人尋問の機会を得られていないんです。
東京原告の方々が抱えている困難や経験を聞かずに判決をしようとしているそう。なんてこと!
このような大きな憲法訴訟で、「本人尋問の機会を奪われているのはありえないことだ」と、
弁護団も記者会見で述べていました。
中川弁護士も、「憲法32条の裁判を受ける権利」も侵害されていると主張しています。
この本人尋問の問題については別記事にわかりやすく書きました▼
この訴訟に求めるものは違憲判決を下してもらうこと
「結婚の自由をすべての人に訴訟」で求めているものは、ズバリ、
違憲判決を下してもらうこと。
この訴訟は長い戦いになるだろうとも言われています。
LGBT+当事者でない、マジョリティ(大多数)の方が応援してくださることによって、社会は早く変わります。
同性婚を実現するために私たちにできることを別記事にてまとめました▼
補足: 札幌判決で違憲が認められた!
2021年3月17日、札幌地裁で違憲が認められました!!
詳しくは別記事に▼
さいごに
さいごに、原告代理人である加藤弁護士の言葉で締めくくりたいと思います。
この裁判は、誰もが自分らしく生きることを国から保障されるという意味で、全ての人の尊厳に関わる。裁判所には、ひるむことなく、堂々とした違憲判決を下されることを望みます。
憲法との関係については「Marriage For All Japan」の憲法と同性婚をお読みください。
また、「原告ら代理人意見陳述要旨」では本裁判で問われているものが明確になっています。
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
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