とても素敵な絵本に出会いました。
タイトルは『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』です。
タイトル通り、世界で最初にズボンをはいた女の子の物語。
ものすごく勇気をもらえた絵本であり、ジェンダーについて改めて考えさせられた絵本でもありました。
どんな絵本だったのか紹介させてください!!
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絵本『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』とは?
「せかいでさいしょにズボンをはいた女の子」の基本情報をまとめました。
絵本のタイトル | せかいでさいしょにズボンをはいた女の子 |
---|---|
原題 | Mary Wears What She Wants |
製作国・製作年 | 米国・2019年 |
出版社 | 光村教育図書 |
ページ数 | 大型本41P |
作家 | キース・ネグレー(Negley, Keith) |
翻訳家 | 石井睦美 |
サイズ | 26×0.8x22cm |
評価 | ★5 |
絵本『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』のあらすじ・内容
あらすじ・内容の引用はこちらです▼
内容:
今から約150年前、女性はズボンをはいてはいけないという常識に疑問を投げかけ、非難されても抵抗した少女がいました。後に女性初の軍医として活躍し、フェミニストとして知られたメアリー・E・ウォーカーの幼い日を描く。Amazonより引用
そう、この絵本は実際にあった出来事をお話にしているんです!
主人公メアリーが生まれた1832年当時は女性がスカートを履くことが当たり前の時代だったんです。
その時代に初めてズボンを身につけたメアリー。
周りから「男の子の服を着るなんておかしい」と非難されたときの心境を考えるだけで、胸が詰まる想いになりました。
現代では女性がズボンを履くのは何もおかしいことではないですよね。
150年前のこのメアリーの勇気ある行動が、今のわたしたちの時代を作っているんだなと思うと非常に感慨深くなりました。
少し長いかなー?と思いつつ、2歳の子どもたちに読み聞かせてみたのですが、
最初から最後まで聞いてくれました。
きっと絵本の本当の意味を理解するのはまだ先だろうけど、
絵本『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』の感想・見どころ
「せかいでさいしょにズボンをはいた女の子」の感想・見どころをまとめてみました。
- 主人公メアリーがカッコいい
- 「当たり前は変えられる」ことが学べる
- 主人公がシングルファザー家庭
- お父さんの言葉が印象に残る
- 絵がポップで可愛い
- 実際にあったお話なので興味深い
- メアリーの行動に勇気をもらえる
<下に続く>
①主人公メアリーがカッコいい
絵本の中でものすごく印象的だったメアリーのセリフがあります。
わたしは男の子の服を着ているんじゃないわ。わたしはわたしの服を着ているのよ。
ガツンと心に響いたセリフでした。
非常識だと散々に言われても、自分の信念を貫き通すメアリーの姿には心を打たれるものがありました。
今でも男の子の服・女の子の服ときっちり分けられている洋服屋さんが多いですよね。
もっともっと選択肢が増えて、性別に関係なく、自分が着たいと思う服を選べる時代になればいいなと心から思います。
②「当たり前は変えられる」ことが学べる
150年前、女性はスカートを履くのが当たり前だった。
でもメアリーの「ズボンを履く」という行動で人々の当たり前が覆され、これまでの常識がガラリと変わった。
当たり前が当たり前じゃなくなった瞬間です。
現在、当たり前にしなければいけないと皆んなが思っていることは変えられる可能性があるってことですよね。
かつて女性には選挙権がなかった時代が変わったように。
子どもたちには「おかしい」と疑問に思う心を大事にしてほしいです。そして、「おかしい」と思ったときに行動してほしい。
この主人公メアリーのように。
当たり前や普通なんてあってないようなもの。
③主人公がシングルファザー家庭
たいていの絵本には、「お父さんとお母さんがいる家族」が出てきますよね。
もしくは「お母さんと子どもだけが出てくる絵本」も多いなと感じています。
シングルファザー家庭を表現している絵本って本当にない。
(個人的に母親が家事育児をするものという考えからきているのでは?と思っていますが)
この絵本の中で表現されているメアリーの家族はお父さんだけです。
メアリーが悩んでいるとき、メアリーが学校へ行くとき、お父さんだけが出てくるんです。
もし子どもに「メアリーのお母さんはどこ?」と聞かれたとしたら、「お母さんがいない子もいるんだよ」ってことを伝えられるなと。
「家族の中にお母さんがいることが当たり前」と思い込んでいる社会に必要な絵本。
④お父さんの言葉が印象に残る
絵本の中でハッとさせられたお父さんのセリフがあります。
「人間って、当たり前だと 思っていたことが 変わってしまうのが 怖いんだよ」
これはメアリーが「どうしてみんなはメアリーの着ている服に文句をつけるの?」と質問したときに、
お父さんがメアリーに伝えた言葉です。
この言葉って大人が聞いてもグッとくるものがあります。
⑤絵がポップでオシャレかつ可愛い
なんといっても、絵がポップでオシャレで可愛いんですよ。
全体的にピンクカラーでまとまっているので、
「ピンク=女の子」「ピンク=女性の象徴」という固定観念を植え付けてしまうのは少し残念な点ですが、
今の現代社会においてはわかりやすく表現されているのかなと思いました。
⑥実際にあったお話なので興味深い
この絵本の主人公であるメアリー・エドワーズ・ウォーカーの紹介文が絵本の最後に掲載されています。
1870年頃のメアリーは「女性なのにズボンを履いていた」ことを理由に何度も逮捕されていたと書かれていました。
現在、女性が当たり前にスカートを履けるのは彼女のおかげなんですね。
先駆者の行動が今の社会を作っていることが改めてわかりました。
また、メアリーは1855年にシラキューズ医学大学で博士号を取得しています。
しかし当時は「女性の医者である」という理由で信用されず敬意も払われなかったそう。
メアリーは生涯をかけて女性の権利、女性の衣装改革といった問題を論じることに人生を費やした人物なんです。
⑦メアリーの行動に勇気をもらえる
メアリーがズボンを初めて履いたとき、誰からも「イイね!似合うね!」と言われず、それどころか非常識だと罵られた。
でも、最後にはズボンを履いた女の子がたくさん出てくるんです。
自分らしさをひたすらに追求し、自分の生き方を貫いた姿には勇気をもらえました。
絵本『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』
絵本「せかいでさいしょにズボンをはいた女の子」に出会えて本当によかったです。
「おかしい」と感じたときに声をあげて行動してみること。
未来は変えられる可能性があること。
「みんなと同じ」でなくてもいいこと。
常識や正しさを疑うこと。
当たり前なんて存在しないこと。
ひとりで行動する勇気を持つこと。
自分らしく生きていくこと。
この絵本には子どもに伝えたいことがぎっしりと詰まっているなと感じました。
「女の子は女の子らしく、男の子は男の子らしく」といった固定観念も早くなくなってほしい。
全力でおすすめしたい絵本なので、ぜひ親子で読んでみてくださいね▼
以上、まどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
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