絵本の読み聞かせで気をつけることってあるのでしょうか?
また、絵本って何歳から読み聞かせたらいいのか迷うことはありませんか?
絵本を読むと、語彙が増えるだけでなく、感情が豊かになったり、集中力がついたり、たくさんのメリットがありますよね。
この記事では、保育園で働いている私が以下2つのことを紹介していきます。
- 絵本を読み聞かせる年齢
- 絵本の読み聞かせで気をつけること10選
スポンサーリンク
絵本の読み聞かせの年齢は?いつから?
絵本の読み聞かせの年齢は明確に決まっているわけではないのですが、0歳から始める方がとても多いです。
わたしは、子どもたちが新生児の時に読み聞かせを始めました。
新生児の頃は言葉がわからなくても、絵を見せると目で追っていたのが印象的でした。
下記は、わたしの子どもが白黒絵本を眺めている時の写真です。初めは絵を眺めるだけでもOK!!
個人差はありますが、生後6ヶ月ごろになると、微笑んだり、「あーうー」と喃語を発したり、絵本を通してコミュニケーションできるようになってきます。
生後9ヶ月ごろにはさらに興味が出てきて、絵本を自分でめくったりしていましたね。
生後12ヶ月になる頃には、動物の鳴き声を真似したり、車やトラックの音を言ってみたり。世界がどんどん広がってきたんですよね。
なので、絵本の読み聞かせは0歳から少しづつ始めるのがいいでしょう。
中には臨月から始める方もいるそうですよ。
絵本の読み聞かせで気をつけてること10選
保育現場で絵本を読んでいると、どんなふうに絵本を読むのがベストなのかだんだん分かってきました。
絵本の読み聞かせにはコツがあるんですね。
絵本の読み聞かせで、わたしが気をつけていることを10つ紹介します。
①子どもたちが座れる環境を整える
絵本の読み聞かせで気をつけていることの1つめは、子どもたちが座れる環境を整えることです。
子どもが1人か2人だったら膝の上に乗ってもらったり、横に座って絵本を読むこともあるでしょう。
人数が多い場合は、扇状に座ってもらうのが一番いいですね。後ろに座っている子どもたちは、前に座っている子どもたちの間から絵本が見えるように。
絵本を読んでいる途中で立ってしまう子がたまにいるので、絵本を読んでいる間は座ることを事前に伝えておきます。
座布団やイスなど、一人ひとりが座れる環境を準備しておくのも忘れずに♪
②読む前に短い手遊びをする
絵本の読み聞かせで気をつけていることの2つめを紹介します。
それは、絵本を読む前に短い手遊びを導入することです。
子どもたちが絵本を聞く姿勢になっていると、大人も読みやすいですよね。手遊びをすることで、騒がしく遊んでいる子どもたちを落ち着かせ、注目してもらえます。
手遊びをすることで、騒がしく遊んでいる子どもたちを落ち着かせ、注目してもらえるからです。
わたしが導入で歌うのは「もーしもし、あのね、あのね、これから始まるお話シィー♪」の短い歌。
この歌が始まると、「あ、絵本を読む時間だ」と子どもたちが集まってくるので、同じ歌を使っています。
他にも、「おはなし おはなし」「はじまるよ」「こんこんきつね」の手遊びがおすすめです。
<下につづく>
③片手で絵本の中央を持つ
絵本の読み聞かせで気をつけていることの3つめは、片手で絵本の中央を持つことです。
スムーズにページをめくることで、絵本の内容もスッと入ってきやすくなりますよね。
読んでいるときにグラグラしてしまわないように、しっかり持ちます。また、自分の指で絵が隠れてしまわないようになるべく下の部分を持つようにしておきます。
いちばん遠くにいる子どもたちが見えるように、絵本の高さをキープすることも大事ですね。
④抑揚をつけすぎない
絵本の読み聞かせで気をつけていることの4つめは、抑揚をつけすぎないことです。
絵本を読んでいるときに、声色を変えないようにしています。
必要以上に抑揚をつけてしまうと、絵本の内容よりも読み手のオーバーリアクションしか残らなくなってしまうので……。
抑揚をつけずに絵本を読む理由は、他にもあります。
子どもたちの想像力を壊さないためです。
絵本に出てくるキャラクターのイメージって、大人が決めるのではなく子どもたちが決めるもの。
例えば、読み手が「この主人公は明るい性格の子だから、少しリズミカルに読んでみよう」と決めつけてしまったらどうでしょうか。
もしかしたら、子どもは「この主人公は明るい性格だけど、冷静な面も持っているから落ち着いた声なんだろうな」と考えているかもしれません。
読み手の勝手な抑揚によって、子どもたちの想像力をかき消してしまうことがあるのです。
子どもたちを惹きつけるために多少は声の大きさを考えて読むこともあるし、絵本によっては抑揚をつけたほうが面白い作品もあるかもしれませんが、基本的には淡々と読んでいます。
抑揚をつけないほうが、絵本の世界観も大事にできますよ。
ちなみに、抑揚はつけないけど、心を込めて読んでいます。
⑤ハッキリ、ゆっくり読む
絵本の読み聞かせで気をつけていることの5つめは、ハッキリ、ゆっくり読むことです。
そうすることで普段の話言葉よりもキレイに読めるので、ひとつひとつの発音が安定するんです。
乳幼児はまだ舌の発達段階にあるので、サ行やラ行などが上手く言えない子もいますよね。
滑舌の安定のためにも、ハッキリ、ゆっくり読むことを心がけています。
⑥子どもの表情や目線を見ながらページをめくる
絵本の読み聞かせで気をつけていることの6つめは、子どもの表情や目線を見ながらページをめくることです。
絵本によっては、絵がかなり細かく描かれていますよね。文章を読み終わって次のページをめくるときに、まだ絵をじっくり見たい可能性もあります。
ページをめくるタミングや速さは、子どもの表情と目線に注目!!
絵本を読みながら子どもの表情や目線に気を配るのは難易度が高めですけどね……。苦笑
でもなるべく、情景が思い浮かばれるようなシーンは余韻にも浸らせてあげたいです。
⑦絵本の感想はあえて聞かない
絵本の読み聞かせで気をつけていることの7つめは、絵本の感想を聞かないことです。
どのくらい絵本の内容を理解しているか確かめたくなってしまうこともありますよね。しかし、ここはグッと我慢。
絵本を読み終わってから自分たちなりに消化している最中。どこまで理解しているかテストされているような気持ちにさせたくないのが理由です。
また、まだうまく言語化できないのに無理やり「どうだった?」と聞かれても返答に困る可能性があります。
「面白かった?」と誘導するような声かけには「面白かった!」とオウム返しになってしまうことも……。
思考力を養っていきたいのはもちろんですが、論理的に説明させることよりも、まずは感性が豊かになったらいいなと思っています。
感想を聞くのは小学生になってからでも遅くないのかなと思います。
⑧「もう1回読んで」と言われたら必ず読む
絵本の読み聞かせで気をつけていることの8つめを紹介します。それは「もう1回読んで」と言われたら必ず読むことです。
心の中では「またこの絵本読むの!?」と思っていることもありますよ(笑)わたしが飽きてしまうくらいです……。
でも、1回読んだだけでは理解できなかったことも、何度も読むことで新たな発見があるのが絵本の魅力。
同じ絵本を繰り返し読むことで、子どもの語彙の定着にもつながります。
保育現場では難しい時もありますが、自宅では「絵本を読んで」と言われたらどんなに忙しくても読むようにしています。
正直、「絵本を読むのがめんどくさい」と思う日もあります。
でも、子どもたちの想像力と感受性を育むのが絵本。
「あとで」と言って後回しにしてしまうと、絵本に興味がなくなってしまう可能性も…。「お願いされたら必ず読む!!」と決めちゃったほうが案外楽です。
⑨ジェンダーバイアスがある絵本は読まない
絵本の読み聞かせで気をつけていることの9つめを紹介します。それは、ジェンダーバイアスのある絵本は読まないことです。
ジェンダーの視点から絵本を分析した論考には、絵本に登場する主人公は男の子に偏っているという結果があります。
さらに主人公の女の子と男の子の描かれ方の違いも指摘されています。
男の子が主人公の作品は、冒険したり賢かったり、弱さに打ち勝ったり、ユーモアに描かれている一方で、
女の子が主人公の作品は、優しく穏やかで、メルヘンな世界に描かれていることがほとんど。
ジェンダーステレオタイプを植え付ける絵本が多く、ウンザリしています。
親としては母親が圧倒的に多く登場し、父親だけが出てくる絵本はほぼ皆無ですね。
絵本に出てくる家族像も決まってワンパターン。エプロンをつけた母親と仕事から帰宅した父親の家族像のみが描かれています。
わたしはジェンダーバイアスがある絵本は徹底的に避けています。性差別につながってしまうし、ステレオタイプの押し付けでしかないからです。
外に一歩でも出ると「女の子だから」「男の子だから」と普段の会話からもジェンダーステレオタイプを常に押し付けられているので、家庭で読む絵本は気をつけていますね。
社会にステレオタイプの絵本が量産されすぎているので、どうしても読まなければいけない場合は文章を変えて読んだり、補足しています。
例えば、「ピンクが好きな男の子もいるよね」と会話に挟んだり、
「世の中にはいろんな家族がいるよね」と付け足したり、「この絵本に出てくる家族はお母さんとお父さんと子どもの構成だけど、ふたりママ家族もいるんだよ」と伝えたり。
社会からの押し付けられるステレオタイプが偏見や差別を生み出しているんです。
「偏見や差別を少しでもなくしたい」と思ったことがキッカケで、絵本を出版しました。
家族の多様性を伝える絵本「かぞくです」を2022年に出版しました。
気になる方はぜひ合わせてチェックしてみてくださいね▼
また、ジェンダーニュートラルな子育てを実践しているので、こちらの記事も合わせて読んでみてください。
⑩6歳以下にグリム童話や悪者が出てくる絵本は読まない
絵本の読み聞かせで気をつけていることの10つめを紹介します。それは、6歳以下にグリム童話や悪者が出てくる絵本は読まないことです。
グリム童話や昔話、ディズニーやアンパンマンなどの絵本って、文章に「脅し」や「制裁行為」が出てくることが多いんですよね。
悪役にパンチしたり、悪者に罰を与えたり、毒リンゴを与えたり…。中には「首を切る」「撃ってしまえ」などの表現もあったりしますから…。
暴力的なシーンがある絵本を読むメリットが全くわかりません。
「これは絵本の世界なんだ」ときちんと区別できる年齢に読むのがいいと個人的に考えているので、6歳以下には過激な表現のある絵本は読まないようにしています。
絵本の読み聞かせで気をつけること・コツまとめ
この記事では、絵本の読み聞かせで気をつけていることをまとめました。
絵本を読むうえで最もこだわっているのは、「ジェンダーステレオタイプを植え付けないこと」です。
ノルマのようにたくさん読むよりも、大切なことだと考えています。
絵本の量(冊数)より、絵本の質(内容)を大事にしていきたい。
わたしが出版した絵本「かぞくです」は、実在する6家族をモデルにしています。
「多様性」というキーワードが気になる方はぜひチェックしてみてくださいね▼
以上、絵本「かぞくです」作者のまどぅー(➠プロフィールはこちら)でした。
こんにちは、絵本「かぞくです」作者のまどぅーです。